セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
 悟は体重をしっかりとソファーに預けたまま、なんとはなしに郵便物をチェックする。不要なDMばかりが続く中、一つだけ明らかにそうではないとわかる封筒が現れた。

「えっ」

 封筒の文字を見た瞬間、思わず声が漏れた。この字は間違いなく志歩のものだ。

 悟はほかの郵便物はすべて放り、急いで志歩から送られてきた封筒を開封した。中に入っていた手紙を取り出し、そこに書かれた文章を一文字、一文字食い入るように見つめながら読み進めていく。

 手紙には悟を批判するような言葉は少しもなく、温かな言葉ばかりが綴られていた。じんわりと胸が温かくなる。

 ゆっくりと読み進め、終わりに差しかかると、悟は衝撃の事実を知ることとなった。

「そうか。そういうことか……どうして今まで気づかなかったんだ」

 手紙の最後には志歩が別れを切り出した理由が書かれている。けれど、その内容は悟が思っていたものとはまったく違っていた。

 てっきり自分の過去の行動を咎められているのだとばかり思っていたが、そうではなかった。志歩は恵美理との仲を勘違いして、身を引こうとしている。まさかそんな誤解を与えているとは夢にも思わなかった。

 悟は志歩ただ一人を愛しているというのに、恵美理と復縁するなどあるはずもない。

「ははっ、まったくひどい誤解だな。でも、よかった……嫌われたわけではなかった。本当によかった」

 志歩の気持ちが今もまだ悟にあるとわかる文面に涙が滲んでいく。志歩への想いも涙と共に溢れ出す。

 この気持ちを押しとどめる必要はないとわかった今、このままじっとはしていられない。すぐにでも志歩を迎えに行きたい。

 しかし、今の時間からよその家を訪問するのはさすがに憚られる。迎えに行くなら、明日の勤務終了のタイミングを狙うのがいいだろう。

 悟はそう決意し、もう一度手紙を眺める。文字の一つ一つがとても愛しい。志歩がこの手紙を書いたのだと思うと胸がいっぱいになる。

 志歩を抱きしめるかのようにぎゅっと手紙を抱きしめ、喜びに浸っていれば、突然ポケットの中のスマホが震え出した。
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