セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
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 衝撃的な出来事から一夜明け、志歩は己に起きたことを振り返る。

 昨夜は、思いのほかしっかりと眠ることができたからか、昨日よりは今の自分の状況を受け入れられている。

 自分が事故に遭ったという状況も、一年間の記憶がないことも、その間に結婚をしていたことも頭では理解した。

 感情が追いついていないところはあるにせよ、今の自分と向き合おうという気持ちにはなっている。

 しかしながら、志歩には一つだけどうしても受け入れられないことがある。

 それは俊也の裏切り。記憶がない今の志歩にとって、それが最も直近で起きた出来事なのだ。

 思い出したくもないあの場面が何度も蘇り、それが志歩を苦しくさせる。

 悟と結婚したということは、きっと本来の志歩はその出来事を乗り越えているのだろう。けれど、今の志歩にはとてもできそうにない。ただただ苦しい。

 俊也のことを考えるなど悟に対してとても失礼な行為だとわかってはいるが、隙あらば俊也のことが思い浮かんでしまう。

 あのようなつらい場面は思い出したくないのに、志歩の脳は言うことを聞いてはくれなかった。

 一人でいると何を考えていても、そこにいきついてしまうのだ。

 すでに終わっているはずの過去の出来事に苦しむという無駄でしかない時間。志歩はそれに嫌気が差す。

 早くこの地獄から抜け出したい。誰か引っ張り出してくれないだろうか。

 志歩のそんな願いは、意外にもすぐに叶えられた。
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