セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~


 思いのほか柔らかな地面。

 夕方なのに閉じた瞼の先に感じる光。

 聞き覚えのない声。


 志歩は遠い意識の中でそれらを感じながら、徐々に意識を浮上させる。

 なぜだかとても重たい瞼をゆっくりとこじ開けるように開いていけば、白い天井が目に入った。

 おかしい。どう見てもアパートの外階段ではない。

 ここはどこだろう。自分はいったいどうなったのか。俊也は? あの女は?

 いくつもの疑問がよぎるが、それは瞬時に吹き飛ばされる。

「志歩っ!」

 すぐ近くから切羽詰まった声で名を呼ばれる。

 俊也のものとは似ても似つかない声に、声の主は誰なのかと目線をゆっくりと横へ流せば、そこにいたのはとても美しい人だった。
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