セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「そっか、ラウンジがあるんだ」

 平日の昼下がりとあって満席ではないが、いくつかのテーブル席でお茶を楽しんでいる人たちがいる。

 宿泊はできないにしても、ラウンジだけ楽しんで帰るのもいいかもしれない。

 ある程度きれいな格好はしているから、さすがに浮くことはないだろう。

 いい過ごし方が見つかったとラウンジの方へ足を進めるが、それはたったの数歩で止まってしまう。

「あれ? 志歩さん!」
「えっ、悟さん?」

 悟が軽く手を上げながら、こちらに向かって歩いてくる。

「来てくれたんだ」

 悟はにこにこと微笑んでいるが、彼に何も言わずに来てしまった手前、どうにも気まずい。

「すみません、勝手に来てしまって」
「志歩さん。謝らなくていいって、いつも言っているでしょう?」
「あ……」

 悟は志歩が謝るたびにその言葉をくれる。志歩も謝りすぎはよくないと思ってはいるものの、さすがにこの状況なら謝ってもおかしくないだろう。

「いや、でも、何も言わずに来てしまったから」
「別にいいよ。でも、事前に言ってくれたら、いろいろとセッティングしてあげたのに」
「えっ、いいです、いいです。少し見てみたかっただけなので」

 社長の悟が動いたら絶対に大変なことになると、志歩は手を振りながら断りの姿勢を見せる。

 本当にどんなところか少し見るだけでよかったのだ。今は雰囲気さえ味わえれば、それで十分。

 しかし、悟はそれでは納得いかないようだ。
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