セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
 思いのほか近い距離にドキリとする。

「志歩さん、よかったらスパも体験してみない? 空きがあるの確認したから、今ならトリートメントの予約も取れるよ。もちろん志歩さんが嫌でなければだけど、どうかな?」

 先ほどの電話はそういうことかと納得する。

 しかし、スイートルームに滞在させてもらう上にスパまでとは、さすがに贅沢がすぎるのではないだろうか。

「嫌ではないですけど……でも、さすがにそこまでは」
「嫌じゃないなら、行っておいでよ。それで後で感想を聞かせてくれると嬉しいな」

 なるほどと納得する。確かにモニターとしてならば、ほんのわずかでも悟に貢献できるかもしれない。

「そういうことでしたら、ぜひ。ありがとうございます、悟さん」

 やはり志歩が素直に受け入れれば、悟は嬉しそうに笑ってくれる。

 彼はその場ですぐさま予約を取りつけると、軽くスパの説明までしてくれた。

「さて、僕はそろそろ仕事に戻らないといけないんだけど、志歩さんは今日はどうする? ここに泊まる? それとも家に帰る? 泊まるなら着替えとか必要なものを用意するし、帰るなら迎えに来るよ」

 ホテルなのだから宿泊するのが普通だろうが、少し覗きに来ただけのつもりだった志歩に泊まるという概念はなかった。

 ここに泊まればとてもいい一日を過ごせることは間違いないだろう。しかし、一人きりでこの広いスイートに泊まるのは寂しいし、だからといって悟と二人で泊まる勇気はまだない。

 できることならば、いつか悟と本当の夫婦の関係に戻れたときに、一緒に泊まりたい。

 そんな思いから、志歩は後者を選んだ。

「今日は悟さんと一緒に帰ります」
「わかった。じゃあ、後で迎えに来るから、それまで楽しんで」

 笑顔で手を振ってくれる悟に、志歩も笑顔で手を振り返した。
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