セカンドマリッジ　～病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました～
　その場で軽い診察を受け、医師から質問を投げかけられる。

「どうしてここに来ることになったかはわかりますか？」
「えっと、階段から落ちたはずなんですけど、そのせいでしょうか？」

　階段から落ちてどうなったのかはまったく覚えていないが、心当たりがあるのはその出来事だけ。

　間違いないだろうかと視線でも問いかければ、医師ははっきりと頷いてくれる。

「そうですね。階段からの転落で、頭部を打撲したと報告を受けています。あなたは意識を失った状態でここへ運び込まれてきた。頭部の外傷の治療のほか、脳の検査も行いましたが、脳にこれといった異常は見られませんでした。しかしながら、今日まで三日ほど意識が戻らない状態が続いていました」
「えっ！　三日も？」

　自分ではそんなに意識を失っていた感覚はない。てっきり運ばれてから数時間程度のことかと思っていた。

　しかし、冷静になって考えてみれば、夕方だったはずの空はなぜか明るい。少なくとも一夜は越していることになる。

　志歩は驚きつつも、徐々に納得していく。

「やはりそれなりに脳への衝撃もあったということでしょう。どこかに異変が起きていないか、これから詳しく検査していきましょう。よろしくお願いしますね、清塚(きよつか)さん」
「はい」

　医師の言葉に頷いて返答しながらも、志歩の中には疑問が浮かぶ。それは無視できない大きな疑問。

　その疑問を志歩は戸惑いながらも口にする。
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