セカンドマリッジ ～病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました～

「……あの、清塚とは？」

　その質問を口にした瞬間、その場にピリッとした空気が流れた。

　医師と看護師はすぐに緊張を和らげたものの、なぜかまだそこにいる美しき人がひどく動揺した顔をしている。

　聞き覚えのない名前で呼ばれたから確認しただけなのだが、そんなにもいけないことを訊いてしまっただろうか。

　戸惑う志歩に、医師は微笑んでから問いかける。

「……失礼。あなたのお名前を教えていただけますか？」
「水瀬(みなせ)志歩です」

　医師が心得たというように笑って頷く一方、美しき人は眉をひそめて苦悶の表情を浮かべている。

　どうしたのだろうかと心配の声をかけようとするも、医師の言葉で遮られる。

「水瀬さんですね。よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」

　そんなやり取りをしている間に、美しき人は背を向けてしまい、彼の表情はわからなくなった。