セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
***

 隣で眠る志歩をちらりと見て、悟は小さなため息をこぼす。

 志歩が自分たちのことに興味を示してくれたことがとても嬉しい。けれど、そんな彼女に真実を話せていないことに罪悪感が増す。

「本当に卑怯だな」

 ため息がもう一つ漏れた。

 悟が志歩に語った二人の物語に決して嘘はない。正しく二人のラブストーリーだ。

 けれど、今日話した内容はあくまでも志歩視点の話。悟視点の話はもう少し異なる。

 特に始まりと終わりが。

 本当はその話こそ、志歩にすべきだとわかってはいるが、それを言えばまた同じ道を辿ってしまいそうで、志歩がいなくなってしまいそうで言えない。

 少なくとも悟への想いを失くしている志歩には言える話ではない。

「もっと僕に溺れてくれればいいのに。そうしたらきっと何もかも……」

 心の底からの願望が口からこぼれる。

 悟なしでは生きていけないくらい志歩が想いを寄せてくれたなら、そのときにはすべてを明かせるかもしれない。悟の醜い心すべてを。

 しかし、今はそのときではない。まずは志歩の想いを取り戻さなければならない。すべてはそこからだ。

 悟は距離が少し近づいたことに対する喜びと、秘密を抱えている罪悪感両方を抱きながら、そっと瞼を閉じた。

 どうか明日はもっと志歩と近づけますようにと願いながら。
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