セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
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 見事な和風建築を前に、志歩は思わず「すごい」と感想をこぼす。

 休日の昼過ぎ。悟に連れられて来たのは清塚家の本邸。今日は久枝に会うためにここへとやって来た。

 清塚家の本邸ならば、さぞ豪邸に違いないと思ってはいたが、あまりに格式高い雰囲気に萎縮している。

 悟に続いて恐る恐る屋敷内へと足を踏み入れれば、段差が分割された上がり框や手すりが目に入ってきた。通路はとてもすっきりとしていて、障害物になるものは何も置かれていない。それを見た志歩はほっと安堵した。

 これならば久枝も過ごしやすいだろうと。脳梗塞を起こした彼女には体に麻痺が残っているのだ。きちんと久枝のことを考えた改修がされているとわかる。

 そんなふうに作業療法士の視点になったためか、最初に感じていた緊張はなくなり、久枝に会えるという高揚感の方が大きくなる。

 ドキドキとしながら悟の後に続けば、窓から美しい庭園の見える部屋に入ったところで、ようやく目的の人物と再会を果たした。
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