セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「ちっ、逃がすか」
十メートルも進まないうちに、また腕をつかまれてしまった。
そばにいた加奈は先ほどより強く突き飛ばされ、その場に転倒する。
「っ!? やめて! 放してっ!」
「誰が放すか。散々探させやがって。お前、勝手に引っ越しただろうが」
俊也の言葉に志歩は強く眉根を寄せる。
勝手にというならば、それは俊也の方だ。俊也が勝手に浮気をして、二人の関係を終わらせた。志歩が何をしようと、それはもう俊也には関係のないことだ。
「勝手にって、何それ……」
「おい、俺と帰るぞ。さっさと来い」
乱暴に手を引かれて、恐怖が湧き上がる。
いったいこの人は誰なのだろうか。志歩の知る俊也は、こんな横暴な人ではなくて、快活な人だった。クラスの人気者で、誰とでも仲よくなれる、とても気さくで面白い人だった。
志歩の好きだった俊也の姿は、もう今の彼にはない。
それが悲しくて、悲しくて、志歩はありったけの力で俊也の手を振り払った。
「やめてっ! ……捨てておいて今さら何? 帰るってなんなのよ。ほかの女がいるくせに、私に構わないで」
自分でも信じられないくらい冷たい声が出た。強く俊也を睨みつける。
しかし、俊也は少しも怯むことなく、気味の悪い笑みを向けてくる。
「なんだよ、そんなこと気にしてるのか。あんなのただの遊びだって。ほら、俺と結婚するって言ってただろ? その望み叶えてやるから来いよ」
俊也から心ない言葉が吐き出されるたびに、悲しみが深まる。俊也との過去が、楽しかった日々が、すべて汚されていくよう。もうこれ以上、彼の姿を見たくない。
「――ない。行くわけないでしょ! もう、あんたの顔も見たくないっ。どっか行ってよ」
「は……? 意地張るなって。結婚してやるって言ってんだからさ、大人しく戻ってこいよ」
少しも心の弾まないプロポーズに心が冷えていく。
十メートルも進まないうちに、また腕をつかまれてしまった。
そばにいた加奈は先ほどより強く突き飛ばされ、その場に転倒する。
「っ!? やめて! 放してっ!」
「誰が放すか。散々探させやがって。お前、勝手に引っ越しただろうが」
俊也の言葉に志歩は強く眉根を寄せる。
勝手にというならば、それは俊也の方だ。俊也が勝手に浮気をして、二人の関係を終わらせた。志歩が何をしようと、それはもう俊也には関係のないことだ。
「勝手にって、何それ……」
「おい、俺と帰るぞ。さっさと来い」
乱暴に手を引かれて、恐怖が湧き上がる。
いったいこの人は誰なのだろうか。志歩の知る俊也は、こんな横暴な人ではなくて、快活な人だった。クラスの人気者で、誰とでも仲よくなれる、とても気さくで面白い人だった。
志歩の好きだった俊也の姿は、もう今の彼にはない。
それが悲しくて、悲しくて、志歩はありったけの力で俊也の手を振り払った。
「やめてっ! ……捨てておいて今さら何? 帰るってなんなのよ。ほかの女がいるくせに、私に構わないで」
自分でも信じられないくらい冷たい声が出た。強く俊也を睨みつける。
しかし、俊也は少しも怯むことなく、気味の悪い笑みを向けてくる。
「なんだよ、そんなこと気にしてるのか。あんなのただの遊びだって。ほら、俺と結婚するって言ってただろ? その望み叶えてやるから来いよ」
俊也から心ない言葉が吐き出されるたびに、悲しみが深まる。俊也との過去が、楽しかった日々が、すべて汚されていくよう。もうこれ以上、彼の姿を見たくない。
「――ない。行くわけないでしょ! もう、あんたの顔も見たくないっ。どっか行ってよ」
「は……? 意地張るなって。結婚してやるって言ってんだからさ、大人しく戻ってこいよ」
少しも心の弾まないプロポーズに心が冷えていく。