セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
 志歩と悟は、早速ラケットとシャトルを施設から貸し出してもらい、広場で向かい合う。

 バドミントンをするのは、本当に学生の頃以来だから、まともにできるか少し心配だった。けれど、体がしっかりと覚えているのか、やってみると案外自然と体が動く。

 大きく弧を描くようにゆっくりと打ち合っているだけだが、結構な時間ラリーが続いている。

「志歩さん、なかなか上手いね。『下手でも』、なんて言っていたけど、随分と余裕そうだ」
「悟さんが打ちやすいところに上げてくれるからですよ」
「じゃあ、もう少しスピードを上げてみようか」

 次の瞬間、悟から放たれるシャトルのスピードがグンと上がった。先ほどまで頭上高くに打ち上げられていたのに、今はほとんど直進で志歩へと向かってくる。

「えっ、ちょっ」

 あっという間に志歩のところまで到達したシャトルを、反射的にラケットを強く振って、打ち返す。

「ナイス。やっぱり上手だね」

 悟はそんなことを言いながらも容赦なく攻めてくる。志歩は言葉を発する余裕もなく、次々に飛んでくるシャトルを必死に打ち返す。

 しかし、何度返しても、またすごいスピードで戻ってくる。普段から体力はそれなりにつけているつもりでいたが、さすがに男の人のそれには敵わない。

 息が上がり、体が思うように動かない。腕を振るのもやっとだ。

「もう、無理っ」

 その言葉と同時に、スカッと空振りをし、志歩はその場にへたり込んだ。酸素が足りなくて苦しい。はあ、はあと肩を上下に動かしながら呼吸をする。

 息を整えるのに精一杯でその場から動けないでいる志歩のそばに、悟もやって来た。

 志歩は悟を恨みがましく見つめる。

「少しは、手加減、して、くださいよ。はあ、苦しっ」

 まだ息の上がっている志歩の背中を悟が優しく擦ってくれる。

「ごめんね。あまりに楽しくて、つい夢中になってしまった」

 少ししょげている悟がかわいい。余程楽しかったのだろう。悟がそれだけ夢中になってくれたことが嬉しい。

 どうにか息を整えた志歩は、もう大丈夫だと悟に微笑む。

「いいですよ。私も楽しかったので。でも、次はもう少しゆっくりでお願いします」
「わかった。今度はゆっくりやろう」

 それがいいと頷く。それにしても、いい大人が随分と夢中になったものだと二人は笑い合う。

 広場に二人の笑い声が響くが、それ以上に大きな声が近くから響いてきた。
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