セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
 しばらくは何も語らずに、互いの存在を感じながら、じっと空を眺める。視界に入ってくるのは星々と木々ばかり。余計な情報が何も入ってこないからか、自然と己の心が浮き彫りになる。

 強い確信に変わっている悟への想いが、心いっぱいに広がる。隅から隅までその想いで満たされていて、もうこのまま己の中だけにとどめておけない。

 あの日の言葉の続きを口にするならば、きっと今以上のタイミングはないだろう。

 志歩はとても自然な声音で悟に話しかける。

「悟さん」
「うん?」

 夜空を眺めたまま、普通の会話をするようにさらっとその言葉を口にする。

「好き」
「っ!」

 志歩と同じく空を眺めていた悟が勢いよくこちらに視線を向けてきた。

 驚きと期待の入り混じった瞳で見つめてくる。

 志歩はその期待に応えるように、今度は見つめ合いながら想いを告げる。

「悟さんが好きです。記憶は戻らないけど、それでも私は今、悟さんに恋をしています。あなたが好き」

 悟の表情に喜びの感情が滲んでいく。泣き笑いに近いような顔で、何度も頷いている。

「うん……うん、僕も。僕も志歩さんが好きだよ。あなたをとても愛している」

 きっと志歩の顔にも喜びが滲んでいることだろう。『愛している』の言葉に、強く胸がときめいているのだから。

「好き。すごく好き」
「贅沢だな。志歩さんがくれるその言葉は、星空なんかよりも遥かに贅沢だ。ありがとう、志歩さん。もう一度好きになってくれて、本当にありがとう。僕もたくさんの愛を伝えていくから、どうか受け止めてほしい」
「はい」

 しっかりと頷きながら答える。おそらく悟は志歩に合わせて抑えてくれていたのだ思う。記憶のない志歩に想いを押しつけるようなことはしてこなかった。ただただ優しく寄り添っていてくれたのだ。

 もう一度想いが通じ合った今、もう何も抑える必要はないということだろう。これから二人は急速にその仲を深めていくに違いない。

 悟に握られた手がそれを予感させる。
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