悪辣外科医、契約妻に狂おしいほどの愛を尽くす【極上の悪い男シリーズ】
 とくに脳外科の手術は専門性が高く、通常の外科以上に人手不足。オフでも病院から緊急の呼び出しがしょっちゅうかかる。

 加えて、難易度の高い手術を父と真宙さんのふたりで裁いている状況。デートの予定を立てるのもひと苦労である。

 それでも月に一度、私と過ごす時間を作ってくれるのだから、彼の誠実さが伝わってくる。

 初めてのデートは、父との会食から三週間後。仕事の帰りに待ち合わせをしてスペイン料理を食べた。

 彼はとにかく優しくて、私のペースに合わせてくれる。なにを注文しようか迷っていると、さりげなくアドバイスをくれるし、私の目線を読んで「あれ、美味しそうだよね。食べてみる?」と提案してくれたりする。

 お店のチョイスの仕方も絶妙で、父が選ぶような肩肘張る高級店ではなく、カジュアルながらも特別感のあるお洒落なお店を選んでくれる。

 とにかくスマートな人だなあという印象。デートというものがよくわからず、つい相手の顔色をうかがってしまう私には、彼の自然なリードがありがたかった。

〝経験豊富な大人の男性〟とは彼のような人を言うのかもしれない。

 なんというか、私にはないものを持つ彼が眩しくて、素敵で、それが恋かどうかはわからないけれど、憧れという意味では間違いなく彼に魅了されていた。



 映画を観終わった私たちは、ディナーの店へ移動した。

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