悪辣外科医、契約妻に狂おしいほどの愛を尽くす【極上の悪い男シリーズ】
「結婚を前提としたお付き合いをしませんか?ってこと」
突然の提案に驚いて、騒ぎ出した鼓動をごまかすように唇を引き結ぶ。私が緊張したのを悟ったのか、彼が苦笑した。
「お付き合いするからなにが変わるとか、具体的に考えているわけじゃないんだ。もちろん、やましい気持ちもないよ。ただ友人と恋人では向き合い方が違うし、より深い話もできる気がする」
穏やかな語り口調からは、彼の言う通りやましさなど微塵も感じられない。
シンプルに彼は、このままお友達を続けて探り探りやっていくよりも、きちんとお付き合いした方が理解し合えると思ったのだろう。
「それに、さっきも言った通り、このままだと友達で終わってしまうかもしれないし。僕は璃子さんに、友達以上のものを感じているんだけど」
不意に目を艶っぽく細めて言うものだから、ドキリとする。
「このまま友人の振りをするのは、フェアじゃないと思ったんだ」
これは提案というより、彼の意思? 私を好いていると――女性として好感を持っていると伝えてくれている?
「……私で、よければ」
断る理由などない。私だって充分彼に惹かれているのだから。
それが憧れか恋か、はっきりと自覚はできないけれど、きっと男女のそれに近いものなのだと思う。
「よかった。断られたらどうしようかと思ったよ」