透明なエンゲージリング
「私、小さい頃から病気で入退院を繰り返してるの。治療のせいで髪の毛は抜けちゃった。体もガリガリに痩せてる。学校もまともに行ったことがない。……病気を治すには、臓器の移植手術受けるしかないんだ。でもドナーが見つからないの」

病気のため、エミリーは自宅と図書館と病院しか行けない。普通の女の子のように色んな場所でデートすることができない。悲しそうに彼女は笑いながら言った。

「だから、私となんか付き合わない方がいいよ」

リオンは迷うことなどしなかった。美しいエミリーを強く抱き締めた。初めて触れた彼女は折れてしまうのではないかと思うなど細く、心臓の鼓動がリオンの耳に届いた。

「俺はエミリーがいい。エミリーと恋をしたい。エミリーが好きだ」

リオンの言葉にエミリーが再び涙を流す。しかし、それは悲しい涙ではなかった。

「……嬉しい。私も、リオンのことが大好きだよ」

リオンとエミリーはゆっくりと離れた。エミリーの手にはプレゼントした箱がある。それをリオンは手にした。リボンを解いて箱を開ければ、雪の結晶をモチーフにしたイヤリングがある。
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