透明なエンゲージリング
「綺麗……」

エミリーが微笑む。リオンも微笑んだ。

「つけてあげる」

リオンがエミリーの耳に触れる。エミリーの耳につけられたイヤリングは、太陽の光に照らされて虹色に煌めいた。



恋人になったエミリーとの日々は変わりなかった。しかし、エミリーといられるだけでリオンの心は幸せで満たされていった。

やがて季節が春になった頃、いつものように図書館でのデートをしていた時だ。エミリーがリオンに言った。

「あのね、入院することになったの」

「入院?病気が悪くなったのか!?」

不安になるリオンに対し、エミリーは笑いながら首を横に振る。

「実はね、臓器移植を受けられることになったの!」

「えっ!?」

リオンは驚いて声を上げてしまい、慌てて口を塞ぐ。移植手術を受けるということは、エミリーの病気は完治するということだ。

「よかった……。完治したら、色んなところにデートに行けるね。どこ行きたい?」

「う〜ん。どこにしようかな……」

図書館にある観光ガイドブックを引っ張り出し、二人で眺める。ここに行きたい、あそこもいいね、そんな話をするだけでリオンは楽しかった。
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