透明なエンゲージリング
リオンが目を開けた瞬間、ベッドの枕元にガイドブックが置いてあることに気付いた。イタリアの観光地などが書かれているものである。
「エミリー、このガイドブックって……」
リオンが訊ねると、エミリーは泣くのをやめて顔を上げる。リオンが体に回した手を離すと、彼女はガイドブックを広げた。フィレンツェの美しい街並みを映した写真がリオンの目に飛び込む。
「フィレンツェにね、素敵な教会があるんだって。そこに元気になったら行きたかったの。リオンと一緒に。……でも、もう無理かな」
エミリーは悲しげに笑う。リオンはその手を優しく包んだ。手術を次に受けられるのはいつかわからない。手術を受けられないかもしれない。しかし、リオンは笑みを浮かべる。頭の中に明るい未来を必死で想像した。
「無理なんて言うなよ。俺、エミリーとここに行きたい。その教会で結婚式を挙げよう。新婚旅行はイタリア一周なんてどうかな?」
指輪も、花束も、綺麗な夜景も何もない。あまりにも突然すぎるプロポーズだ。しかし、リオンの目の前にいるエミリーは涙を流していた。
「エミリー、このガイドブックって……」
リオンが訊ねると、エミリーは泣くのをやめて顔を上げる。リオンが体に回した手を離すと、彼女はガイドブックを広げた。フィレンツェの美しい街並みを映した写真がリオンの目に飛び込む。
「フィレンツェにね、素敵な教会があるんだって。そこに元気になったら行きたかったの。リオンと一緒に。……でも、もう無理かな」
エミリーは悲しげに笑う。リオンはその手を優しく包んだ。手術を次に受けられるのはいつかわからない。手術を受けられないかもしれない。しかし、リオンは笑みを浮かべる。頭の中に明るい未来を必死で想像した。
「無理なんて言うなよ。俺、エミリーとここに行きたい。その教会で結婚式を挙げよう。新婚旅行はイタリア一周なんてどうかな?」
指輪も、花束も、綺麗な夜景も何もない。あまりにも突然すぎるプロポーズだ。しかし、リオンの目の前にいるエミリーは涙を流していた。