透明なエンゲージリング
「なら、この図書館にいつでも逃げてきたらいいよ。私はいつでもここにいるから」

エミリーは優しく微笑んだ。その瞬間、リオンはずっと胸に抱いていた気持ちの名前を知る。

(……俺、エミリーのことが好きなんだ)

リオンの顔に熱が集まる。エミリーの方を見ることができず、リオンは顔を逸らしながら「ありがとう」と言った。



エミリーに恋をしているとわかった日から数ヶ月が経った。季節はもう冬である。外出時にはコートやマフラーが手放せない。

そんな街は赤いハートで彩られている。バレンタインが近いためだ。アメリカではバレンタインは男性から女性にプレゼントを渡すのが一般的だ。

(エミリーはどんなものが好きなんだろう……)

リオンは緊張を覚えながら商業施設に足を運び、並べられた商品の中から何時間もかけてプレゼントを選んだ。

(バレンタインに告白するんだ!)

そうリオンは決意し、プレゼント用にラッピングしてもらった箱を優しく抱き締めた。エミリーは喜んでくれるだろうか。彼女の反応を想像してリオンは胸を高鳴らせた。
< 7 / 14 >

この作品をシェア

pagetop