透明なエンゲージリング
二月十四日。バレンタイン当日は薄い雲があったものの、美しい青い空が見えていた。しかし外は寒い。リオンはマフラーとコートを身に付けて図書館へと向かう。

「エミリー」

図書館のいつもの席に座る彼女に声をかける。エミリーは顔を上げ、「リオン」と嬉しそうに微笑んだ。リオンは顔が赤くなっていくのを感じながら、「今日何の日か知ってる?」と訊ねた。

「バレンタインでしょ?」

エミリーはすぐに答える。リオンは緊張しながらラッピングされた箱を取り出した。そしてエミリーに渡す。

「これ、俺から」

「えっ……」

エミリーの顔が赤く染まる。リオンは汗ばむのを感じながら、拳を握り締めて生まれて初めての告白をする。

「俺、エミリーか好きだ。俺の恋人になってください」

リオンの告白にエミリーの表情が曇っていった。その表情でリオンは返事を悟ってしまう。エミリーが口を開く前に、リオンは素早く「ごめん!」と謝った。

「迷惑だったよね。プレゼントも捨てていいから」

「ち、違う!そうじゃないの!」
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