悪女、チャレンジします!

一色君の気持ち

教室はすっかり騒ぎが落ち着いて静けさを取り戻した。

私が保健室に運ばれている間に、一色君があの記事はデマであることを校内放送を使って発信していたんだ。

私とはただ生徒会活動のことを話していただけ。

放送中、諏訪会長からもお願いがあったみたい。

校内新聞にあまりにも影響力があることが証明されたから、選挙まで一時停止になっちゃった。

ちなみに一色君のネガティブキャンペーンの効果は全然なし。

その代わりみんなこそこそと私のことばかり悪く言うの。

あの記事が本当かもしれないって疑っている人はまだ多いんだよね。

当の常盤君は私を避けるように顔を背けているし。

少しは悪いことしたって思っているのかな?

常盤君と話したいけど、話す気力もない。

そうしている間にも生徒会選挙の出馬期間は終わりを迎えた。

予想通り、今回会長に立候補したのは常盤君と一色君の二人。

「やっぱり次の会長はこの二人のどっちかだよね」

「どっちに投票しようか、迷っちゃいますわ」

咲良と姫華が選挙の話題で盛り上がっている。

あの事件があってから、諏訪会長とも話して生徒会活動は休んでいる。

でも、それももう終わり。

メンバーの一人としてできることは頑張らないと。

「舞奈はどっちに入れるか決まったの?」

「まだ決めてないよ。投票まであと二週間もあるんだから」

生徒会活動は復帰するけど、今は選挙のことなんて考えたくない。

あれだけ常盤君を勝たせるためにずっと頑張ってきたのに。

人生、何があるかわからないよね。
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