身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「奥に何が……?」
「さっきから質問ばかりだな」
カイゼルは薄く笑うと扉に手をかける。
「カイゼル殿下が答えてくださらないからですっ」
むくれながら、押し開かれる扉の中へ進み入ったエリシアは、目の前に広がる黄金の樹々に目を見開いた。
「これは……」
それは、懐かしい光景だった。
父のグスタフが異国から持ち帰った二本の苗木は、エリシアが生まれるころには何倍にも増え、数年で黄金の実をつけた。
かつて、フェルナ村にあったその絢爛たる光景が今、目の前に広がっている。エリシアは目を輝かせて一歩、また一歩と前へ進んだ。
「王宮にも、ルーゼの樹木があったんですね」
「ルーゼは異国でも貴重な果物だからな。毎年惜しみなく食べられるようにと、グスタフが献上した苗木を育てたものだ」
「では、殿下はルーゼを食べて育ったんですか?」
(だから、カイゼル様は還炎熱を患わなかったのかしら)
「ビクターを含め、この実を味わったことがあるものは、王宮では少なくはない。ただ、少々酸味が強いため、ルイはまだ食したことがなかったのだ」
「だから、ルイ殿下と一部のメイドたちだけが還炎熱にかかったのでしょうか?」
「ノアム大聖堂で起きた奇跡……。ルーゼの香りを嗅いだことがあるもののみが還炎熱を再燃しない。それが本当であるならば、可能性は大いにあるだろう」
「この実があれば、王都中の……いえ、ノルディア国中で還炎熱に苦しむ方々を救うことができるでしょうか?」
エリシアは黄金の実に手を伸ばす。
(なんて立派な実だろう)
父が育てていたルーゼに引けを取らない、艶々した表面の皮からは甘酸っぱい芳醇な香りがする。
「食べてみるか?」
「いいんですか?」
「ちょうど収穫の時期だ。採れたてはうまいだろう」
「さっきから質問ばかりだな」
カイゼルは薄く笑うと扉に手をかける。
「カイゼル殿下が答えてくださらないからですっ」
むくれながら、押し開かれる扉の中へ進み入ったエリシアは、目の前に広がる黄金の樹々に目を見開いた。
「これは……」
それは、懐かしい光景だった。
父のグスタフが異国から持ち帰った二本の苗木は、エリシアが生まれるころには何倍にも増え、数年で黄金の実をつけた。
かつて、フェルナ村にあったその絢爛たる光景が今、目の前に広がっている。エリシアは目を輝かせて一歩、また一歩と前へ進んだ。
「王宮にも、ルーゼの樹木があったんですね」
「ルーゼは異国でも貴重な果物だからな。毎年惜しみなく食べられるようにと、グスタフが献上した苗木を育てたものだ」
「では、殿下はルーゼを食べて育ったんですか?」
(だから、カイゼル様は還炎熱を患わなかったのかしら)
「ビクターを含め、この実を味わったことがあるものは、王宮では少なくはない。ただ、少々酸味が強いため、ルイはまだ食したことがなかったのだ」
「だから、ルイ殿下と一部のメイドたちだけが還炎熱にかかったのでしょうか?」
「ノアム大聖堂で起きた奇跡……。ルーゼの香りを嗅いだことがあるもののみが還炎熱を再燃しない。それが本当であるならば、可能性は大いにあるだろう」
「この実があれば、王都中の……いえ、ノルディア国中で還炎熱に苦しむ方々を救うことができるでしょうか?」
エリシアは黄金の実に手を伸ばす。
(なんて立派な実だろう)
父が育てていたルーゼに引けを取らない、艶々した表面の皮からは甘酸っぱい芳醇な香りがする。
「食べてみるか?」
「いいんですか?」
「ちょうど収穫の時期だ。採れたてはうまいだろう」