身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
ノアリエル療養所は、カイゼルが急いで建設させたと聞いていたが、思っていたよりも大きな施設だった。
「当初は患者を収容するだけで精一杯でしたが、現在は落ち着いて生活できるように一人一つずつベッドが与えられ、家族は集まって暮らせるように部屋を与えられています。還炎熱が落ち着けば、さまざまな病に苦しむ方の治療ができる総合的な病院にできると殿下は考えてるんですよ」
療養所の中を案内してくれるビクターの説明が終わると、エリシアは奥の部屋へと向かった。
「この先は、保管庫でしたよね?」
「はい、そうでございます。今朝ほど、薬液の運搬が済んだと連絡が入ったので、あちらに届いているでしょう」
ベルナンはそう答えると、とても老齢とは思えない軽快な足取りで細い廊下を進む。
「薬液って、どのようなものなんですか?」
「ベルナンには3種類の薬液を作らせた」
ベルナンが先を歩いている間に、カイゼルがエリシアにそう答えた。
「3種類ですか?」
「ああ。すでに、ルーゼが還炎熱に効果があるだろうことはわかっている。しかも、アルナがその効果を増幅させる可能性が大いにあると考えている。とすれば、残りの香水の原料であるリュミラとサリナンに、アルナと同じ効果がないと証明できればいい」
「それが証明できれば、アルナとルーゼで還炎熱に効く薬が作れるんですね?」
「そうだ。結果次第で、迅速に対応できるだろう」
エリシアはうなずくと、保管庫に入っていくベルナンの背中を追った。彼は山積みにされた木箱の中からいくつかの瓶を取り出すと、部屋の中央にあるテーブルの上へ乗せて、カイゼルへ見せる。
「こちらがご指示通りにお作りした薬液でございます。こちらの黄色の薬液がルーゼとアルナでございます」
ベルナンはそう言って、黄色の液体が入った瓶を持ち上げた。そして、隣にある薄緑の液体にはリュミラが、半透明の液体にはサリナンが調合されていると説明した。