身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
***


「完成した薬液で回復した患者は数知れず。目覚ましい効果を出しているようだ。大司祭らと検討し、これならリビアに使っても問題ないと許可を得た」

 部屋を訪ねてきたカイゼルがそう言ったのは、薬液完成から七日後のことだった。

「リビア様には、いつお薬を?」
「今からだ」
「今からですかっ?」
「なんだ、うれしそうではないな。リビアの回復を願っていたはずが」

 カイゼルが茶化すように言うから、エリシアはあわてる。

「ちょっと驚いただけですっ」
「そう、むくれるな。急な誘いは迷惑だとシルビアに叱られたところだ」

(誘いって……)

「では、……私も一緒に行っていいんですか?」
「いつも俺と行動をともにせよ。おまえがいると、何かと助かるんだ」
「助かるって……? あっ」

 頭の中に、ある女性の無邪気な笑顔が浮かぶ。

(ルルカが苦手なのかしら)

 エリシアがふふっと笑うと、カイゼルはぴくりと眉をあげる。

「あっ、いいえ、なんでもないです。ルイ殿下は毎日ルーゼを食べてすっかりお元気になられましたし、リビア様が目覚められたら、私もシムアへ戻れますよね? 少しお待たせしてしまいますが、荷物をまとめてからいきます」

(もう、ルイ様はご回復されたし、私への疑いは晴れてるわよね)

 エリシアが一方的にそう言ったからか、カイゼルはますます険しく眉根を寄せたが、「馬車で待つ」とだけ言って立ち去った。
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