身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
扉が閉まる大きな音に驚いて身をすくめたエリシアだったが、「大丈夫ですか?」と問われて、すぐさまサイモンと呼ばれた青年に頭をさげた。
「はっ、はい。ありがとうございます。びっくりして、大きな声を出してしまって、ご心配をおかけしました」
サイモンはあきれたように小さなため息をつく。
「あなたも気をつけなさい。あのマダムはこの辺りでは有名な、若い娘に貴族の相手をさせて儲けている人さらいです」
(人さらい……?)
エリシアは驚きのあまり、言葉を失った。対してサイモンは、まるで常識を言ったかのように淡々としている。それが余計に恐ろしい。
「王都は初めてですか?」
「あ、えーっと、子どものころに一度……」
「なるほど。初めてのようなものですね。先ほど、あなたは修道女になりたいと言ってましたね?」
「は、はいっ。実は、両親が他界して無一文になってしまったんです。それで、大聖堂を訪ねれば……」
修道女になれるチャンスだとばかりに、エリシアが話し始めると、サイモンは首を振った。
「待ちなさい。今はあなたの身の上話を聞く余裕はありません。エリオン、この方をシムアの教会へ連れていってあげなさい」
(エリオン……?)
エリシアはサイモンの視線の先を追いかける。彼の後ろに、修道士姿の青年がいることに初めて気づいた。
「サイモン様、よろしいのですか? 大聖堂の方は……」
真面目そうな茶髪のエリオンは、戸惑うように騒ぎが続いている大聖堂を気にする。
「もちろん、彼女を送り届けたらエリオンはすぐに大聖堂へ戻りなさい。頼みましたよ」
「はっ、はい。ありがとうございます。びっくりして、大きな声を出してしまって、ご心配をおかけしました」
サイモンはあきれたように小さなため息をつく。
「あなたも気をつけなさい。あのマダムはこの辺りでは有名な、若い娘に貴族の相手をさせて儲けている人さらいです」
(人さらい……?)
エリシアは驚きのあまり、言葉を失った。対してサイモンは、まるで常識を言ったかのように淡々としている。それが余計に恐ろしい。
「王都は初めてですか?」
「あ、えーっと、子どものころに一度……」
「なるほど。初めてのようなものですね。先ほど、あなたは修道女になりたいと言ってましたね?」
「は、はいっ。実は、両親が他界して無一文になってしまったんです。それで、大聖堂を訪ねれば……」
修道女になれるチャンスだとばかりに、エリシアが話し始めると、サイモンは首を振った。
「待ちなさい。今はあなたの身の上話を聞く余裕はありません。エリオン、この方をシムアの教会へ連れていってあげなさい」
(エリオン……?)
エリシアはサイモンの視線の先を追いかける。彼の後ろに、修道士姿の青年がいることに初めて気づいた。
「サイモン様、よろしいのですか? 大聖堂の方は……」
真面目そうな茶髪のエリオンは、戸惑うように騒ぎが続いている大聖堂を気にする。
「もちろん、彼女を送り届けたらエリオンはすぐに大聖堂へ戻りなさい。頼みましたよ」