身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「エルダ様、なぜ私ではなく、ルルカやマルナに行かせるのですか?」
かばうように、年長の修道女は尋ねた。
「看病は昼夜となく続きます。体力のある若手の力を必要としているんですよ。ルルカやマルナでしたら、困難があっても助け合っていけるでしょう。何より、サイモン様がおいでです。困った時にはお力になってくださいますよ」
確かに、エルダの言う通りだった。マルナは状況判断に優れているし、ルルカは行動力がある。決して、足手まといになることはないだろう。
しかし、ルルカの表情はどんどんと不安なものになっていく。行きたくない気持ちは明白だった。
「あの……」
エリシアはおずおずと手を挙げた。
「なんですか? エリシア」
「ふたりに変わって、私が行くことはできるでしょうか?」
そう切り出すと、エルダが口を開く前にルルカたちがハッとこちらを振り返る。
「エリシア、何を言うのっ」
マルナが口を閉じなさいとばかりにぴしゃりと言ったが、エリシアは不安に押し潰されないようにぎゅっと手を結んでエルダに訴えた。
「実は……、以前暮らしていた村の診療所で働いていました。難しい治療はわかりませんが、熱のある患者の看病はできます」
「そんな話は聞いていませんよ。本当ですか?」
エルダは初耳だと驚く。
父が亡くなり、母が働きに出る中で、エリシアも何かできないだろうかと、フェルナ村の診療所の医者に頼み込んで手伝いをするようになった。ガレスとの結婚話が浮上するやいなや、もう来なくていいと言われてしまったが、多少なりとも知識はあるつもりだ。
かばうように、年長の修道女は尋ねた。
「看病は昼夜となく続きます。体力のある若手の力を必要としているんですよ。ルルカやマルナでしたら、困難があっても助け合っていけるでしょう。何より、サイモン様がおいでです。困った時にはお力になってくださいますよ」
確かに、エルダの言う通りだった。マルナは状況判断に優れているし、ルルカは行動力がある。決して、足手まといになることはないだろう。
しかし、ルルカの表情はどんどんと不安なものになっていく。行きたくない気持ちは明白だった。
「あの……」
エリシアはおずおずと手を挙げた。
「なんですか? エリシア」
「ふたりに変わって、私が行くことはできるでしょうか?」
そう切り出すと、エルダが口を開く前にルルカたちがハッとこちらを振り返る。
「エリシア、何を言うのっ」
マルナが口を閉じなさいとばかりにぴしゃりと言ったが、エリシアは不安に押し潰されないようにぎゅっと手を結んでエルダに訴えた。
「実は……、以前暮らしていた村の診療所で働いていました。難しい治療はわかりませんが、熱のある患者の看病はできます」
「そんな話は聞いていませんよ。本当ですか?」
エルダは初耳だと驚く。
父が亡くなり、母が働きに出る中で、エリシアも何かできないだろうかと、フェルナ村の診療所の医者に頼み込んで手伝いをするようになった。ガレスとの結婚話が浮上するやいなや、もう来なくていいと言われてしまったが、多少なりとも知識はあるつもりだ。