身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「しかし、サイモン様には内緒にしておきましょう。わざわざことを荒立てる必要もありませんからね」
「シムアでも使っていたので、エルダ様も大目に見てくださっていたと思います……」
「聞かれたときには素直に答えてくださればいいんですよ。エリシアさんはそれがお出来になりますから、サイモン様もお許しくださるでしょう」

 エリオンの優しさに、ますます罪悪感を覚えてしまう。

「本当に……ごめんなさい」
「謝る必要はありません。もし、懺悔されたいというのであれば、私のアルナにも一滴お願いできるとうれしいですね」

 冗談っぽく言う彼だが、エリシアは大真面目にうなずく。

「それはかまいません。残りはこれだけですけれど」
「もう少ししかありませんね。貴重なものなのでは?」
「長くとっておけるものでもないので、使い切ってしまおうと思ってます」
「そういうことなら、エリシアさんがお使いになりたいときに使うのがいいでしょう」
「今から、エリオンさんのアルナに入れてきますね」

 エリシアが笑顔でそう答えたとき、大広間に突然多くの足音が鳴り響いた。見れば、数人の修道士が円を作って何やら話し合っている。患者たちもざわつく中、あわただしく大聖堂を出ていく修道士の姿もあった。

「何ごとですか」

 エリオンが尋ねたとき、修道士の一人が血相を変えて駆け寄ってくる。

「た、大変です。サイモン様がすぐに祈りの間へ来るようと……」
「サイモン様が? 何があったのです?」

 ただならない雰囲気を感じ、厳しい表情で問うエリオンに、修道士は叫ぶように答える。

「り……リビア様がお倒れになったとのことです!」
< 43 / 130 >

この作品をシェア

pagetop