身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「リビア様が?」

 エリシアが驚きでまばたきをしたとき、ざわつく大広間にハッとしたエリオンが振り返る。

「エリシアさんはみなさんを安心させてください。お願いします」
「あ、はいっ」

 走り去るエリオンを見送る前に、エリシアは不安そうに顔を見合わせる患者のもとへ向かう。

「ああ……、もうダメだ……。リビア様がいなくては、この厄災はおさまらないだろう」

 頭を抱える初老の男に駆け寄り、エリシアは優しく背中をさする。

「大丈夫ですよ。大丈夫です。すぐにお元気になられますよ」

(きっと、リビア様はお疲れになってるだけだわ)

 そう信じる気持ちで、絶望する患者たちを励ましながら回った。彼らは一様に、すがるような目でエリシアを見た。

「……聖女様だ。新しい聖女様が、俺らにはいるじゃないか」

 どこからかそんな声が聞こえ、患者たちの間で笑顔と活気が湧いた。

(新しい聖女って……?)

 エリシアはふしぎに思いながら、それでも明るい笑顔を見せる彼らが希望を見出しているのならと、黙って見守った。

 それから数日後、司祭のグレゴールをはじめとする副司祭のサイモンが祈祷を行い、修道女たちもリビアの看病にあたった。いまだ、眠りにつくリビアだが、ほおは色づき、症状は落ち着いているという。

 しかし、大広間は手薄になり、エリシアはろくに部屋へ戻れる日がなく、大広間でうたたねしながら看病を続けていた。

「エリシアさん、大丈夫ですか? 起きてください」
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