身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
エリシアはすぐさま居住まいを正して、目の前で立ち止まるグレゴールに頭をさげた。
(どうしたんだろう。司祭様が私に会いにくるなんて今までなかったのに……)
「エリシア、今からリビア様の部屋へ来てくれますか?」
「えっ……リビア様のお部屋に、ですか?」
エリシアは驚いて尋ね返していた。グレゴールの後ろに控えていた修道士が、ぴくりと眉を動かす。
口答えしたように見えたのだろう。司祭の言いつけには、黙って従うのがあたりまえ。まして、修道女でもない、ただの手伝いのエリシアが、グレゴールに気安く話しかけるのもはばかられる行為だった。
すぐにエリシアは「わかりました」と答えた。グレゴールは厳しい顔つきのままうなずく。
「エリシアの看病した患者たちが還炎熱を再燃していない話はサイモンから聞いています。もしかしたら、エリシアがリビア様を看病すれば、奇跡が起きるかもしれません」
「奇跡って、そんな……」
エリシアは驚きのあまり声をあげていた。
リビアの具合がそれほど悪いからこそ、グレゴールは奇跡に頼ろうとしているのだろう。その奇跡をエリシアが起こせると、わりと真面目に信じていそうなのも驚きだ。
そしてエリシアは、たしなめる周囲の視線に気づき、ハッと息を飲む。
(どうしよう……。断れないけど、リビア様に万が一、何かあったら……)
奇跡を呼び起こせないとわかれば、罰を与えられるかもしれない。何より、奇跡が起きないことはエリシアが一番よくわかっている。修道女としての修行をしたこともなければ、ふしぎな力などありはしないのだから。
「エリシア、ついてきなさい」
グレゴールが背中を向ける。
(どうしよう。行かなきゃ。でも、足が動かない……)
突っ立ったままのエリシアを、修道士が威圧的な目つきで見つめてくる。グレゴールには逆らえない。エリシアがようやく、重たい足を一本踏み出した、そのときだった。大聖堂の扉の向こうから、大きな声が響き渡る。
「カイゼル王太子殿下がお越しです。至急、グレゴール司祭殿にお目通りを!」
(どうしたんだろう。司祭様が私に会いにくるなんて今までなかったのに……)
「エリシア、今からリビア様の部屋へ来てくれますか?」
「えっ……リビア様のお部屋に、ですか?」
エリシアは驚いて尋ね返していた。グレゴールの後ろに控えていた修道士が、ぴくりと眉を動かす。
口答えしたように見えたのだろう。司祭の言いつけには、黙って従うのがあたりまえ。まして、修道女でもない、ただの手伝いのエリシアが、グレゴールに気安く話しかけるのもはばかられる行為だった。
すぐにエリシアは「わかりました」と答えた。グレゴールは厳しい顔つきのままうなずく。
「エリシアの看病した患者たちが還炎熱を再燃していない話はサイモンから聞いています。もしかしたら、エリシアがリビア様を看病すれば、奇跡が起きるかもしれません」
「奇跡って、そんな……」
エリシアは驚きのあまり声をあげていた。
リビアの具合がそれほど悪いからこそ、グレゴールは奇跡に頼ろうとしているのだろう。その奇跡をエリシアが起こせると、わりと真面目に信じていそうなのも驚きだ。
そしてエリシアは、たしなめる周囲の視線に気づき、ハッと息を飲む。
(どうしよう……。断れないけど、リビア様に万が一、何かあったら……)
奇跡を呼び起こせないとわかれば、罰を与えられるかもしれない。何より、奇跡が起きないことはエリシアが一番よくわかっている。修道女としての修行をしたこともなければ、ふしぎな力などありはしないのだから。
「エリシア、ついてきなさい」
グレゴールが背中を向ける。
(どうしよう。行かなきゃ。でも、足が動かない……)
突っ立ったままのエリシアを、修道士が威圧的な目つきで見つめてくる。グレゴールには逆らえない。エリシアがようやく、重たい足を一本踏み出した、そのときだった。大聖堂の扉の向こうから、大きな声が響き渡る。
「カイゼル王太子殿下がお越しです。至急、グレゴール司祭殿にお目通りを!」