身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?



 サイモンは鍵を取り出すと、祈りの間の奥にある扉を開いた。

「ここは聖具室です。代々の聖女にだけ受け継がれてきた装束を、リビア様は大変大切に守られています」

(そんな大事な部屋に入って大丈夫なのかしら)

 エリシアはルルカたちと顔を見合わせつつ、おそるおそる中へと踏み入る。

 豪華な飾りなどない質素な室内には、いくつもの収納棚や木箱が置かれていた。サイモンはその中からひとつの木箱を選び、蓋を開けた。

「こちらは、リビア様がお若い頃にお召しになっていたローブです。一度、袖を通してみてください」

 差し出されたローブに目を落としたエリシアは、小さく息を飲む。長い歴史を持つであろう聖女のローブは、丁寧に手入れされ、光を受けて静かに輝いていた。

(本当に……私が?)

 あまりの高貴さに戸惑っていると、ルルカがサッと手を伸ばす。

「私が責任を持ってお預かりします」
「本来なら、リビア様の身の回りのお世話をする修道女が立ち会うところですが、今はリビア様から離れることができません。ルルカさん、マルナさん、シムアの修道女であるあなたたちだからこそ信頼してお任せします。よろしくお願いしますよ」

 大役を任され、目を輝かすルルカへ、サイモンは丁寧にローブを渡すと、ヴェールや装飾品を用意して部屋を出ていった。

「エリシア、着替えてみて。リビア様もお若いころはスラッと背の高い方だったみたい。きっとよく似合うよ」

 早速、ルルカがローブを差し出してくる。

「でも、本当にいいの?」
「いいも悪いもないわよ。殿下を長くお待たせするわけにはいかないわ」

 消極的なエリシアの背中を押すようにマルナが言う。
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