身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
***
「どうだ、あの娘の様子は?」
執務室の椅子に腰かけるカイゼルは、山ほどある書類を仕分けするビクターに尋ねた。
このところ、還炎熱に関する書類が増えてきている。各地に派遣した調査団の調査が順調に進んでいる成果だが、なかなか還炎熱を収束させる解決方法は見つけられていない。
「エリシアさんですか? どうもこうも、ルイ殿下を毎日毎日懸命に看病しておられますよ」
「看病ならメイドでもできるだろう。聖女らしさはあるのかと聞いている」
宮殿内でエリシアを見かけたときはなるべく目で追うようにしている。エリシアはこちらに気づくと、こそこそと逃げていく。若くて美しい……というのはさておき、マザー・リビアのような威厳は感じられず、どうにも気になるが、ビクターはあの娘のきな臭さがまったく気にならないらしい。肩をすくめて首をかしげる彼には苦笑してしまう。
「……らしさですかぁ。まあ、確かに街の娘と変わらない振る舞いをしますよね。シルビアの話によれば、毎朝礼拝堂で祈りを捧げたあとは自室を掃除し、ルイ殿下の看病。その後に食事をして、ふたたび祈りを捧げると、ルイ殿下の部屋で夜までこもりきりだとか」
つまり、大した生活はしていないらしい。
「それのどこが聖女らしいんだ? あの娘について、グレゴールから詳しい話を聞いてきたんだろうな」
「それはもちろん、確認しましたよ。なんでも、半年以上前に修道女になりたいとノアム大聖堂を訪ねてきたのだとか。あのころは還炎熱の騒動の最中でしたからね。大聖堂では預かれず、地方から出てきて帰る家もないというので、サイモン副司祭のはからいでシムア教会に預けられたようです。その後はノアムで人手が足りないからと、急きょ、エリシアさんが手伝いに来たそうです」
「それだけか?」
「ほかに何かありますか? エリシアさんの看病で患者はよくなり、なおかつ再燃しないとなれば、それはもう誰だって聖女様の降臨だと騒ぎますよ。王都の一部では、エリシアさんをリビア様の後継者だとうわさする者もいるようです」
「どうだ、あの娘の様子は?」
執務室の椅子に腰かけるカイゼルは、山ほどある書類を仕分けするビクターに尋ねた。
このところ、還炎熱に関する書類が増えてきている。各地に派遣した調査団の調査が順調に進んでいる成果だが、なかなか還炎熱を収束させる解決方法は見つけられていない。
「エリシアさんですか? どうもこうも、ルイ殿下を毎日毎日懸命に看病しておられますよ」
「看病ならメイドでもできるだろう。聖女らしさはあるのかと聞いている」
宮殿内でエリシアを見かけたときはなるべく目で追うようにしている。エリシアはこちらに気づくと、こそこそと逃げていく。若くて美しい……というのはさておき、マザー・リビアのような威厳は感じられず、どうにも気になるが、ビクターはあの娘のきな臭さがまったく気にならないらしい。肩をすくめて首をかしげる彼には苦笑してしまう。
「……らしさですかぁ。まあ、確かに街の娘と変わらない振る舞いをしますよね。シルビアの話によれば、毎朝礼拝堂で祈りを捧げたあとは自室を掃除し、ルイ殿下の看病。その後に食事をして、ふたたび祈りを捧げると、ルイ殿下の部屋で夜までこもりきりだとか」
つまり、大した生活はしていないらしい。
「それのどこが聖女らしいんだ? あの娘について、グレゴールから詳しい話を聞いてきたんだろうな」
「それはもちろん、確認しましたよ。なんでも、半年以上前に修道女になりたいとノアム大聖堂を訪ねてきたのだとか。あのころは還炎熱の騒動の最中でしたからね。大聖堂では預かれず、地方から出てきて帰る家もないというので、サイモン副司祭のはからいでシムア教会に預けられたようです。その後はノアムで人手が足りないからと、急きょ、エリシアさんが手伝いに来たそうです」
「それだけか?」
「ほかに何かありますか? エリシアさんの看病で患者はよくなり、なおかつ再燃しないとなれば、それはもう誰だって聖女様の降臨だと騒ぎますよ。王都の一部では、エリシアさんをリビア様の後継者だとうわさする者もいるようです」