身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「母上が気を許したのか? あの疑り深い人が」
「それほど、エリシアさんは有能なんですよ。よかったじゃないですか。ルイ殿下もずいぶんよくなられてきているようで、最近はベッドから起き上がってよくお話になるそうですよ」

 ルイは何度も還炎熱を繰り返している。元気になったというのであれば、朗報だ。もう二度と発症しないことを今は祈るだけだが、エリシアを認めるかどうかは別の話だ。

「しかし、それほど有能な聖女ならば、それなりの血筋である可能性が高いな。そんな娘が修道女希望か。ますます気になる。ビクター、書類は任せて、あの娘の身の上をすぐに調べてこい」
「調べるんですか? いったいどうやって?」
「それを考えるのがおまえの役目だろう。王都へどうやってやってきたのか、それをまずは考えてみろ」

 ビクターは首をかしげ、天井を見上げる。

「まあ、普通に考えたら、船か馬車ですね……」

 そうつぶやいて、ハッとこちらを見る。

「もしかして、エリシアさんがノアムへ来た日の便を全部調べろっていうんですか?」

 カイゼルは無言でじろりとビクターをねめつける。

「……わかりましたよ。調べます。調べますよ」

 ビクターはため息をつくと、手もとの書類を机の上に積み上げ、急いで執務室を出ていった。
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