身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「見せたいものって?」
エリシアは声をあげるが、カイゼルはナイトローブのまま廊下に飛び出し、突き当たりの部屋へ向かって走り出す。そして、無言で扉を押し開き、エリシアを中へ引きずり込むように自身も飛び込んだ。
「殿下っ? エリシアさんもっ」
椅子に座っていたビクターがびっくりして立ち上がる。カイゼルは戸惑うエリシアに構わず、テーブルの上に大きな地図を広げた。
「見ろ、エリシア」
「これは……?」
「ノルディア国で広まる還炎熱の分布図だ」
エリシアは地図をのぞき込む。
ノルディア国は大きな大陸国家だ。王都アベリアは大陸の南に位置し、北は異国と地つなぎでつながり、西には開拓の進まない森林、東は王都に次ぐ都市が栄えている。フェルナ村は、王都のはずれにあり、地方都市との間にはさまれる形で残る小さな田園地帯だった。
カイゼルは目の色を変え、地図のあちこちを指差す。
「還炎熱の報告があがった地域は赤で塗りつぶしてある。何も塗られていない場所は還炎熱が広がっていない地域だ。その地域はおもに、東から北に点在している」
そして、カイゼルは王都近くの小さな地域を指差した。
「フェルナ村も、その一つだ」
「……たしかに、私はフェルナ村の診療所にいましたが、還炎熱の患者は見たことがありません」
「だからおまえは、王都に来るまで還炎熱の存在を知らなかった。こんなにも近い地域であるにもかかわらずだ。還炎熱にかからないのは、おまえだけではない。フェルナ村の民すべてなんだ」
「どういうことですか……?」
「それは俺が聞きたい。しっかり見ろ。この地図から何かわかることはないか?」
(そんなことを急に言われても……)
エリシアは戸惑いながら地図に目を落とす。カイゼルのにらむような目にさらされ、心配そうに見守るビクターに見つめられながら、エリシアはしばらく地図を指でなぞりながら考え込んだ。
エリシアは声をあげるが、カイゼルはナイトローブのまま廊下に飛び出し、突き当たりの部屋へ向かって走り出す。そして、無言で扉を押し開き、エリシアを中へ引きずり込むように自身も飛び込んだ。
「殿下っ? エリシアさんもっ」
椅子に座っていたビクターがびっくりして立ち上がる。カイゼルは戸惑うエリシアに構わず、テーブルの上に大きな地図を広げた。
「見ろ、エリシア」
「これは……?」
「ノルディア国で広まる還炎熱の分布図だ」
エリシアは地図をのぞき込む。
ノルディア国は大きな大陸国家だ。王都アベリアは大陸の南に位置し、北は異国と地つなぎでつながり、西には開拓の進まない森林、東は王都に次ぐ都市が栄えている。フェルナ村は、王都のはずれにあり、地方都市との間にはさまれる形で残る小さな田園地帯だった。
カイゼルは目の色を変え、地図のあちこちを指差す。
「還炎熱の報告があがった地域は赤で塗りつぶしてある。何も塗られていない場所は還炎熱が広がっていない地域だ。その地域はおもに、東から北に点在している」
そして、カイゼルは王都近くの小さな地域を指差した。
「フェルナ村も、その一つだ」
「……たしかに、私はフェルナ村の診療所にいましたが、還炎熱の患者は見たことがありません」
「だからおまえは、王都に来るまで還炎熱の存在を知らなかった。こんなにも近い地域であるにもかかわらずだ。還炎熱にかからないのは、おまえだけではない。フェルナ村の民すべてなんだ」
「どういうことですか……?」
「それは俺が聞きたい。しっかり見ろ。この地図から何かわかることはないか?」
(そんなことを急に言われても……)
エリシアは戸惑いながら地図に目を落とす。カイゼルのにらむような目にさらされ、心配そうに見守るビクターに見つめられながら、エリシアはしばらく地図を指でなぞりながら考え込んだ。