身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「じ、実は、還炎熱にはアルナが効果的で、大聖堂ではあたりまえのように使っていましたが、アルナ独特の匂いを嫌う方が多くいらしたので、私が看る患者の方にだけ、アルナにルーゼの香水を混ぜて使っていました……」
大聖堂で香水を使うなんて、と叱られるかもしれない。肩をすぼめるエリシアを、カイゼルが歯ぎしりしながら見つめる。
(やっぱり、怒ってるわ。どうしよう……)
「たったそれだけか」
「はい……。ルーゼは良い香りがすると、みなさん、よく匂いを嗅いでいて……」
「匂いか……。患者以外に使ってはないか? 何かこう、確証になるようなものがほしい」
「……大聖堂で香水は厳禁です。リビア様、司祭様やサイモン様にも内緒にしていました」
カイゼルがますます不機嫌そうに鼻にしわを寄せる。エリシアはビクビクしながら続ける。
「修道士のエリオンさんの使うアルナには入れたことがあります。あとは……、ルルカやマルナはルーゼの香りが好きで、いつも三人でハンカチに香水を染み込ませて持つようにしていました」
「ルルカやマルナ?」
「シムア教会の修道女です……」
「おまえは……」
怒りとあきれをないまぜにしたような顔で、カイゼルが腰に手をあてる。
「殿下、今は修道女が香水をたしなんでいたかどうかは小さなことです。たしか、そのふたりでしたら、今もノアムで患者の看病に励んでいるはずです。確認しますか?」
「ああ、そうしよう。エリオンに、ルルカやマルナだな。その三人が還炎熱にかかっていないとなれば、ルーゼをとことん調べてみようじゃないか」
エリシアはおろおろしながらふたりを交互に見た。
(本当に、ルーゼに秘密があるのかしら。もし違ったりしたら……)
「まずは進展ですね」
ビクターが明るい声でそう言う。
「そうだといいがな。ビクター、すぐに大聖堂へ行く準備をしろ。エリシア、おまえもついてくるんだ」
大聖堂で香水を使うなんて、と叱られるかもしれない。肩をすぼめるエリシアを、カイゼルが歯ぎしりしながら見つめる。
(やっぱり、怒ってるわ。どうしよう……)
「たったそれだけか」
「はい……。ルーゼは良い香りがすると、みなさん、よく匂いを嗅いでいて……」
「匂いか……。患者以外に使ってはないか? 何かこう、確証になるようなものがほしい」
「……大聖堂で香水は厳禁です。リビア様、司祭様やサイモン様にも内緒にしていました」
カイゼルがますます不機嫌そうに鼻にしわを寄せる。エリシアはビクビクしながら続ける。
「修道士のエリオンさんの使うアルナには入れたことがあります。あとは……、ルルカやマルナはルーゼの香りが好きで、いつも三人でハンカチに香水を染み込ませて持つようにしていました」
「ルルカやマルナ?」
「シムア教会の修道女です……」
「おまえは……」
怒りとあきれをないまぜにしたような顔で、カイゼルが腰に手をあてる。
「殿下、今は修道女が香水をたしなんでいたかどうかは小さなことです。たしか、そのふたりでしたら、今もノアムで患者の看病に励んでいるはずです。確認しますか?」
「ああ、そうしよう。エリオンに、ルルカやマルナだな。その三人が還炎熱にかかっていないとなれば、ルーゼをとことん調べてみようじゃないか」
エリシアはおろおろしながらふたりを交互に見た。
(本当に、ルーゼに秘密があるのかしら。もし違ったりしたら……)
「まずは進展ですね」
ビクターが明るい声でそう言う。
「そうだといいがな。ビクター、すぐに大聖堂へ行く準備をしろ。エリシア、おまえもついてくるんだ」