身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「……私も行くんですか?」
「おまえにはいてもらわないと困る。もし、ルーゼに秘密があるとなれば、そのままフェルナ村へ向かうつもりだ」
「フェルナ村に……?」

 エリシアが一気に不安を顔に浮かべると、カイゼルはうっすら笑った。

「安心しろ。行くだけだ。還炎熱がおさまるまでは、おまえをフェルナ村へは戻さない。婚約者とやり直したいなら、俺に付き合う必要はないが」
「やり直したいなんてありませんっ。私はシムアに……」
「おまえの気持ちはさっき聞いた。とにかく今は、一刻もはやくノアム大聖堂へ行かなければならない」

 エリシアの気持ちなんて、彼にとってはささいなことなのだろう。軽くあしらわれてしまった。

「でも……」
「なんだ。まだ何か問題があるのか」
「ノアム大聖堂へ戻ったら、着替える時間はいただけますか……?」
「着替えだと? そのままでいいだろう」
「よくありません。これはリビア様からお借りした大変貴重なローブです。私は聖女の役目を終えました。丁重にお返ししたいんです」

 こだわりを見せるエリシアに、カイゼルは面倒くさそうに顔を歪めたが、ほんの少し考え込んだあと、ビクターを振り返る。

「エリシアにふさわしいドレスを用意してくれ。あまり時間はかけるな」
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