身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
エリシアは驚いてカイゼルへと目を戻す。カイゼルもあの日のことを思い出していたようだ。彼はあのときと同じように、ほんの少し前かがみになり、苦笑するように眉をさげていた。
「俺はあまり、娘の扱いになれていない。どうも普段から周囲を怖がらせているようだが、エリシアもそうだったな。宮殿へ向かう途中、ひとことも話さなかったではないか?」
エリシアはゆっくりまばたきをした。
(何を気弱に言うのかしら。こんなに立派な王太子でありながら)
「あ、あのとき、殿下は私をお疑いになっていたので恐ろしかったんです……」
「やはり、怖いのではないか」
「それは私が嘘をついていた後ろめたさからで、殿下とは関係ない……」
そう言いながら、エリシアは黙った。カイゼルと初めて出会った日を思い出したのだ。馬に踏みつけられそうだったのに、無情にも立ち去ったあの姿がちらついた。あのときの印象がどうにもぬぐえなくて、怖かったのは本当だ。
「関係ない? そのようには見えないが」
「フェルナ村から王都へ来た日、私はある馬に轢かれそうになったんです。馬の主人は私がケガをしていないとわかるや否や立ち去りました。そのような方を、お優しい方だと思えないのは当然です」
思い切ってそう言うと、カイゼルはけげんそうにした。何を言われているのかわかってないのだろう。
「殿下は覚えていないことで、誰かのうらみをかっているかもしれませんよ」
「面白いことを言うではないか。その通りだ。だからこそ、身近には信用できる者しか置かない。こうして同じ馬車に乗るのは、エリシアを信用しているからに他ならないが、伝わってはいないか?」
「……私を信用しているっていうんですか?」
「俺はあまり、娘の扱いになれていない。どうも普段から周囲を怖がらせているようだが、エリシアもそうだったな。宮殿へ向かう途中、ひとことも話さなかったではないか?」
エリシアはゆっくりまばたきをした。
(何を気弱に言うのかしら。こんなに立派な王太子でありながら)
「あ、あのとき、殿下は私をお疑いになっていたので恐ろしかったんです……」
「やはり、怖いのではないか」
「それは私が嘘をついていた後ろめたさからで、殿下とは関係ない……」
そう言いながら、エリシアは黙った。カイゼルと初めて出会った日を思い出したのだ。馬に踏みつけられそうだったのに、無情にも立ち去ったあの姿がちらついた。あのときの印象がどうにもぬぐえなくて、怖かったのは本当だ。
「関係ない? そのようには見えないが」
「フェルナ村から王都へ来た日、私はある馬に轢かれそうになったんです。馬の主人は私がケガをしていないとわかるや否や立ち去りました。そのような方を、お優しい方だと思えないのは当然です」
思い切ってそう言うと、カイゼルはけげんそうにした。何を言われているのかわかってないのだろう。
「殿下は覚えていないことで、誰かのうらみをかっているかもしれませんよ」
「面白いことを言うではないか。その通りだ。だからこそ、身近には信用できる者しか置かない。こうして同じ馬車に乗るのは、エリシアを信用しているからに他ならないが、伝わってはいないか?」
「……私を信用しているっていうんですか?」