身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「あっ、エリシアー。おかえりなさーい」

 ほどなくして、サイモンに連れられたエリオン、ルルカ、マルナが扉の奥から姿を見せた。ルルカはエリシアを見つけるなり、両手を広げて駆け寄ってくる。

「どうしたの? すっごく綺麗なドレス。貴族のお姫さまみたい」
「あ、これは……、今から出かけるところがあって、失礼のないようにって殿下がくださったものなの」
「殿下に?」

 ルルカはびっくりするが、すぐに目をキラキラさせて、ドレスをぐるりと見て回った。

「本当に綺麗。エリシアは聖女さまにもお姫さまにもなんでもなれるね。これからどこに行くの?」
「あの、それはね……」

 どこまで話したらいいものか、困ってカイゼルを見上げると、サイモンがこほんとわざとらしく咳払いする。

「ルルカさん、殿下の御前です。慎みなさい」

 ルルカはハッとして、あきれるマルナのそばに駆け寄ると、舌をぺろっと見せて笑った。サイモンは苦笑したが、カイゼルはあまり気にしていないらしい、緊張気味のエリオンの顔をのぞき込み、ルルカをこそっとたしなめるマルナの顔色をうかがった。

「三人とも元気そうだが、還炎熱は?」
「いまだ、還炎熱の勢いは衰えませんが、幸いなことにエリオンは一度は還炎熱にかかるも再燃せず、ルルカさんやマルナさんも毎日休まず看病に励んでくれています」
「そうか。三人とも還炎熱とは無縁か」

 カイゼルが満足そうにうなずくと、ルルカがエリシアに向かって口を開く。

「私たちが看病するようになってから、まだひと月経ってないけど、治った方たちは一人も戻ってきてないんだよね。このまま再燃しなかったら、私たちもエリシアと同じ聖女様だねって……」
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