身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「落ち着いて。落ち着いてくださいっ」
人だかりの前方から若い男の声がする。
「病人の方は左の入り口へ運んでくださいっ。それ以外の方は、どうか……、どうかお引き取りくださいっ」
「病人以外は助けねぇっていうのかっ!」
ざわめきとともに怒号があがった。
「そんなことは言ってませんっ。ただいま、大聖堂は病の方のみ受け入れております! 王都にはさまざまな教会がございます。お急ぎでない方はぜひ、そちらにお願いしますっ!」
(教会……?)
エリシアはハッとした。
ノアム大聖堂のマザー・リビアに会うことばかり考えていて、教会へ行くことは考えてもいなかったが、何も大聖堂でなくても、修道女になれるのではないか。
エリシアはすぐに辺りを見回し、騒動を遠巻きに眺めている、宿やの前に立つ女主らしき女の人を見つけると、すぐさま駆け寄った。
「すみませんっ、教会はどこにあるんでしょうか?」
「ん? 一番近い教会なら港のそばだよ。なんだい、あんた。流行病じゃないのかね?」
まるで、汚らしいものを見るかのような目で、ふくよかなマダムはじろじろとエリシアを眺めた。病人が集まっていて迷惑しているのだろう。
「ち、違います。聖女様にお会いしたくて来てみたら、こんなことになっていて……」
「リビア様に? あんたも酔狂だねぇ。こんなときでなくても、リビア様には簡単には会えないよ」
マダムはあきれたように答えた。
「やっぱり……そうですよね」
落胆すると、マダムはさらに興味深げに尋ねてきた。
「リビア様に何の用だったんだい?」
「用というか……、修道女になりたくて来たんです」
「へえ、修道女に」
人だかりの前方から若い男の声がする。
「病人の方は左の入り口へ運んでくださいっ。それ以外の方は、どうか……、どうかお引き取りくださいっ」
「病人以外は助けねぇっていうのかっ!」
ざわめきとともに怒号があがった。
「そんなことは言ってませんっ。ただいま、大聖堂は病の方のみ受け入れております! 王都にはさまざまな教会がございます。お急ぎでない方はぜひ、そちらにお願いしますっ!」
(教会……?)
エリシアはハッとした。
ノアム大聖堂のマザー・リビアに会うことばかり考えていて、教会へ行くことは考えてもいなかったが、何も大聖堂でなくても、修道女になれるのではないか。
エリシアはすぐに辺りを見回し、騒動を遠巻きに眺めている、宿やの前に立つ女主らしき女の人を見つけると、すぐさま駆け寄った。
「すみませんっ、教会はどこにあるんでしょうか?」
「ん? 一番近い教会なら港のそばだよ。なんだい、あんた。流行病じゃないのかね?」
まるで、汚らしいものを見るかのような目で、ふくよかなマダムはじろじろとエリシアを眺めた。病人が集まっていて迷惑しているのだろう。
「ち、違います。聖女様にお会いしたくて来てみたら、こんなことになっていて……」
「リビア様に? あんたも酔狂だねぇ。こんなときでなくても、リビア様には簡単には会えないよ」
マダムはあきれたように答えた。
「やっぱり……そうですよね」
落胆すると、マダムはさらに興味深げに尋ねてきた。
「リビア様に何の用だったんだい?」
「用というか……、修道女になりたくて来たんです」
「へえ、修道女に」