身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「ああ、そうかよ。どうやったか知らないが、王太子に取り入って、ずいぶん偉くなったもんだ。だがな、俺はおまえを諦めたわけじゃないからな」
「結婚はしないとお断りしたはずです」
ガレスにつかまれた腕がキリキリと痛む。痛みに耐えかねて、振り払おうとしたそのとき、後ろから声がした。
「エリシア、何をこそこそ話している?」
数歩先を進んでいたカイゼルはすぐさま戻ってくると、エリシアの腕を力いっぱいつかむガレスの大きな手を見るなり、みるみるうちに顔色を変え、怒りの形相をした。
「俺の婚約者に何をしているっ。その汚らしい手をさっさと離さないかっ」
「婚約者っ?」
ガレスは叫ぶと、すぐさまエリシアから飛び退いた。
「エリシア、行くぞ。くだらない男と話す時間はない」
カイゼルはガレスをまったく無視すると、エリシアの手をつかんで歩き出す。重なる手は、離れないようにしっかりつかまれているのに、真綿で触れられているように優しくて、エリシアは戸惑った。
しかし、カイゼルはどんどん歩いていってしまう。ぼう然とするガレスの、その大柄な姿が見えなくなると、エリシアはカイゼルの背中を見上げた。
「どうして婚約者だなんて嘘を?」
カイゼルは急に立ち止まると、鼻の頭にしわを寄せる。
「ああいう男が嫌いなだけだ。おまえもなぜ、あんな男と……」
「わ、私はあの人とは何も。あちらが勝手に結婚だなんだと騒いだだけで」
誤解だと訴えると、カイゼルが無言で見下ろしてくる。
(何……かしら?)
エリシアが困惑すると、カイゼルはスッと目をそらし、小さくつぶやいた。
「……あまり俺を困らせるな」
「結婚はしないとお断りしたはずです」
ガレスにつかまれた腕がキリキリと痛む。痛みに耐えかねて、振り払おうとしたそのとき、後ろから声がした。
「エリシア、何をこそこそ話している?」
数歩先を進んでいたカイゼルはすぐさま戻ってくると、エリシアの腕を力いっぱいつかむガレスの大きな手を見るなり、みるみるうちに顔色を変え、怒りの形相をした。
「俺の婚約者に何をしているっ。その汚らしい手をさっさと離さないかっ」
「婚約者っ?」
ガレスは叫ぶと、すぐさまエリシアから飛び退いた。
「エリシア、行くぞ。くだらない男と話す時間はない」
カイゼルはガレスをまったく無視すると、エリシアの手をつかんで歩き出す。重なる手は、離れないようにしっかりつかまれているのに、真綿で触れられているように優しくて、エリシアは戸惑った。
しかし、カイゼルはどんどん歩いていってしまう。ぼう然とするガレスの、その大柄な姿が見えなくなると、エリシアはカイゼルの背中を見上げた。
「どうして婚約者だなんて嘘を?」
カイゼルは急に立ち止まると、鼻の頭にしわを寄せる。
「ああいう男が嫌いなだけだ。おまえもなぜ、あんな男と……」
「わ、私はあの人とは何も。あちらが勝手に結婚だなんだと騒いだだけで」
誤解だと訴えると、カイゼルが無言で見下ろしてくる。
(何……かしら?)
エリシアが困惑すると、カイゼルはスッと目をそらし、小さくつぶやいた。
「……あまり俺を困らせるな」