身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
作業場は二つに分かれているが、決して広くはない。手前にあるスペースは、収穫したルーゼを選別する場所で、奥は父が研究のために収穫時期以外はこもっていた場所だった。
歩くたびに砂が舞う。エリシアはハンカチを口にあてながら、正面にあるドアを指差す。
「メモがあるなら、奥の部屋だと思います。母も私も、普段は決して入ることが許されませんでしたから」
「ビクター、奥から先に探そう」
カイゼルはうなずいたあと、棚に置かれた箱を開けているビクターを促した。
「こっちは綺麗なものですね。……いやぁ、それにしてもすごいな。学術書ばかりじゃないですか」
幸い、奥の部屋まで砂は入り込んでいなかった。整った室内を見回しながら、ビクターが感嘆の声をあげる。
「そんなにすごい本ばかりなんですか?」
「もちろんですよ。ほとんどが農学書のようですが、これは何の本だろう」
ビクターは棚をじろじろと眺め、一冊の分厚い本を手に取る。エリシアも彼の手もとをのぞき込むが、異国の文字では何が書かれているのかわからなかった。
「隣国の文字ですね。ルーゼの産地のものでしょうか」
ビクターが差し出す本をカイゼルは受け取ると、パラパラと中をめくった。
「そのようだな。『芳香術全書』とあるが、香水作りに役立てたかもしれん」
「殿下は異国の文字が読めるんですか?」
驚くと、カイゼルはあきれ顔をする。
「俺を誰だと思ってるんだ」
「そうですよ、エリシアさん。殿下は近隣国の言語は体得されています。ルーゼの香水の作り方がノルディア国にはない製法だったとしてもご安心ください」
「殿下はなんでもお出来になるみたい」
感心してカイゼルを見つめると、彼は鼻の頭を引くつかせる。どうも、彼は照れ隠しするときに鼻を歪めるくせがあるらしい。
歩くたびに砂が舞う。エリシアはハンカチを口にあてながら、正面にあるドアを指差す。
「メモがあるなら、奥の部屋だと思います。母も私も、普段は決して入ることが許されませんでしたから」
「ビクター、奥から先に探そう」
カイゼルはうなずいたあと、棚に置かれた箱を開けているビクターを促した。
「こっちは綺麗なものですね。……いやぁ、それにしてもすごいな。学術書ばかりじゃないですか」
幸い、奥の部屋まで砂は入り込んでいなかった。整った室内を見回しながら、ビクターが感嘆の声をあげる。
「そんなにすごい本ばかりなんですか?」
「もちろんですよ。ほとんどが農学書のようですが、これは何の本だろう」
ビクターは棚をじろじろと眺め、一冊の分厚い本を手に取る。エリシアも彼の手もとをのぞき込むが、異国の文字では何が書かれているのかわからなかった。
「隣国の文字ですね。ルーゼの産地のものでしょうか」
ビクターが差し出す本をカイゼルは受け取ると、パラパラと中をめくった。
「そのようだな。『芳香術全書』とあるが、香水作りに役立てたかもしれん」
「殿下は異国の文字が読めるんですか?」
驚くと、カイゼルはあきれ顔をする。
「俺を誰だと思ってるんだ」
「そうですよ、エリシアさん。殿下は近隣国の言語は体得されています。ルーゼの香水の作り方がノルディア国にはない製法だったとしてもご安心ください」
「殿下はなんでもお出来になるみたい」
感心してカイゼルを見つめると、彼は鼻の頭を引くつかせる。どうも、彼は照れ隠しするときに鼻を歪めるくせがあるらしい。