それは麻薬のような愛だった


颯人の返事に口角を上げ、山中はおもむろに立ち上がる。


「なら少し早いけど、このまま向かおうか。近くに丁度いい店あるんだよ」

「あっ、ちょ…っ」


完全に山中のペースに飲まれ、断れない雰囲気を作り出されてしまい雫は考えるより先に立ち上がった。

慌てて机の資料をまとめていると、勢い余って飛んでしまった紙が颯人の前で止まる。


「…どうぞ」

「あ…ありがとう、ございます」


ぎこちない受け答えをし、雫は颯人から紙を受け取るとそれを封筒へと仕舞い込んだ。それを自身の鞄の中に入れ、入り口ドア付近で待っていた山中に視線を移す。

微笑みを絶やさない山中の真意が図れず、されるがままに後を着いていき、会社を出て数分のところにある喫茶店へ入った。


店員に案内されたテーブル席に腰掛け、男2人と対面する。いまいち状況が掴めないまま黙り込んでいると、やはり話を切り出したのは山中だった。


「まさかこんなに早く再会するとは思わなかったよ。あの後大丈夫だった?かなり酔ってたけど」

「あ、はい…その節はご迷惑をかけました」


改めて言われると恥ずかしくなり縮こまって謝罪すれば、山中の隣に座っていた颯人が怪訝な顔をした。


「酔ってたって…山中さん、彼女に何したんですか」

「誤解だって。ただ交流会に参加して同じ席で飲んだだけの仲だもんね?俺たち」

「あ、はい。そうですね」


雫があっさりと返事を返したことで信ぴょう性が増したのか、颯人の眉間の皺が少しだけ伸びる。


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