それは麻薬のような愛だった
「雫の言った通りだった。山中さんは諦めるよ」
「…そう…」
憐れみを隠さず顔に出す雫に、美波は「気にしないで」と笑う。
「覚悟はしてたし実際それほど落ち込んでないから。それより雫こそ大丈夫?まだ顔色悪いよ」
「うーん…熱は特に無いんだけど、なんかずっと体調がスッキリしなくて。食欲も無いし、多分風邪で胃をやられたんだと思う」
「最近急に暑くなったもんね。夏風邪は長引くことあるから無理はダメだよ?」
「ひとまずは動けてるし大丈夫。心配ありがとう」
立ち上がって自分の席へ戻っていく美波を見送り、雫は再びパソコンへ向き直る。
土日の時のように寝込むほどではないものの、まだ気怠さは否めない。本当に嫌なタイミングで風邪を引いたものだとため息を吐く。
けれど今週末までには治さなければ。関係を清算すると決めた以上、長引かせるのは雫の本意ではない。
この決意が揺らぐ前に、さっさと見切りをつけなければ。
そう思い、その日も仕事を切り上げた後にすぐに休んだ。
しかしそれから何日経っても、雫の体調が改善する事は無かった。