それは麻薬のような愛だった


これはおかしい。そう思ったのは金曜日の朝だった。

金曜の早朝、雫は酷い胸焼けで目を覚ました。まともに食べていないせいか胃も痛く、何より気怠さがこれまでの比ではない。

ただの夏風邪でここまで体調不良が続くだろうか。まさか変な病気なのでは。そう思ったとき、一気に恐怖が襲ってきた。

自分に何かあったら両親はどうなるんだろう。雫はひとりっ子であるし、親戚も多くない。一人娘を何より溺愛している両親の事を思うと、酷く胸が痛んだ。

しかし実際、疑わしい事しか無い。胃の不調に胸焼けと続く微熱。酷い倦怠感。ネットで検索をかけても重い病気の可能性が示唆される。

実際、今週の初めに始まる予定だった月のものも遅れている。


——え…?


それに気付いた瞬間の血の引きようは尋常ではなかった。


寝巻きの上に薄手のカーディガンだけ羽織り、程近い距離にある24時間営業のドラッグストアへ走った。

そして目当てのものを購入して急いで帰宅し、そのまま勢いよくトイレへと駆け込んだ。


「……う、そ…」


予想はしていた。これまで一度も周期が乱れた事が無かったから。


妊娠検査薬にくっきりと入った2本の線を目の前に、雫は頭が真っ白になってその場に立ち尽くした。


< 122 / 215 >

この作品をシェア

pagetop