それは麻薬のような愛だった
これはおかしい。そう思ったのは金曜日の朝だった。
金曜の早朝、雫は酷い胸焼けで目を覚ました。まともに食べていないせいか胃も痛く、何より気怠さがこれまでの比ではない。
ただの夏風邪でここまで体調不良が続くだろうか。まさか変な病気なのでは。そう思ったとき、一気に恐怖が襲ってきた。
自分に何かあったら両親はどうなるんだろう。雫はひとりっ子であるし、親戚も多くない。一人娘を何より溺愛している両親の事を思うと、酷く胸が痛んだ。
しかし実際、疑わしい事しか無い。胃の不調に胸焼けと続く微熱。酷い倦怠感。ネットで検索をかけても重い病気の可能性が示唆される。
実際、今週の初めに始まる予定だった月のものも遅れている。
——え…?
それに気付いた瞬間の血の引きようは尋常ではなかった。
寝巻きの上に薄手のカーディガンだけ羽織り、程近い距離にある24時間営業のドラッグストアへ走った。
そして目当てのものを購入して急いで帰宅し、そのまま勢いよくトイレへと駆け込んだ。
「……う、そ…」
予想はしていた。これまで一度も周期が乱れた事が無かったから。
妊娠検査薬にくっきりと入った2本の線を目の前に、雫は頭が真っ白になってその場に立ち尽くした。