それは麻薬のような愛だった
呼び出されれば体を差し出すのが当然だと、心の奥深くまでその意識が染み付いてしまった雫に謝る以上にどう声をかけていいか分からない。
伊澄が必死に言葉を探し戸惑っていると、それまで無言を貫いていた雫が静かに声を発した。
「…なんで、止めるの…?」
そう言った雫の声は、涙で濡れていた。
「…なんでって、お前…」
「私にはこれしかないの。…いっちゃんを繋ぎ止めておく為には、こうするしかないの…!」
「…っ!」
雫は力の限りに伊澄の腕を振り払い、伊澄のはだけた胸元に顔を寄せる。
「だって…抱いてくれてる間だけは…いっちゃんは、私だけのものでしょう…?」
強い酒の臭いが伊澄の鼻腔を刺激し、雫が酩酊状態にある事など見ずとも明白だった。けれど何故か、この言葉が雫の本心であると確信しか無かった。
雫は伊澄の言葉も待たずに露わになった胸元にキスを落とし、そのまま近くのソファへと押し倒す。
呆然とするばかりで抵抗を忘れた伊澄は呆気なくソファの上に全身を落とし、雫はその上に半裸のまま乗り掛かった。
「いっちゃん…お願い。触って…?」
雫が伊澄の手を掬い、自身の胸に手を当てる。
やめさせなければ、そうは思うのに想いを寄せ続ける女からの誘いに、言葉に、触れる柔肌に、思考が鈍くなっていく。
それを更に助長するかのように、涙を浮かべて懇願する雫の表情に、己の意思に反して伊澄の身体は反応してしまった。