それは麻薬のような愛だった
「そうまでして想ってくれてたお前以外を、俺が選べるわけないだろ」
手がすくわれ、指が絡め合う。伊澄の長い指は、すっぽりと雫の小さな手を包み込んでしまった。
「俺は馬鹿だからすぐに気付かなかった。それでも、これだけはハッキリ言える」
そのまま手を引かれ、抱き寄せられる。
「俺は、雫以外を好きになった事なんか一度だって無い」
宝物にでも触れるかのような優しい手つきと声、そして伝わる鼓動が伊澄の思いが本当であると証明してくれていた。
「いっちゃん…」
疑ってはいなかった。けれど抱いてしまった不安だけは、どうしようもできなかった。
「私…本当は少し不安だったの。同窓会でいっちゃんに結婚なんて続かないって、離婚してもいっちゃんくらいかっこよかったらバツ1でもいいって言ってるの聞いて」
伊澄の胸元で顔を落としながら言うと、伊澄はとんでもなく不快そうに「はあ?」と声を上げた。
「なんだそれ、マジでキメェな」
「そうだね。…でも私、自信無くて。いっちゃんが昔付き合ってた子達みたいに綺麗じゃないし、仕事もしないで家に居るだけで誇れるものも無いし…」
包み隠さず言えば、伊澄はゆっくりと体を離した。どうしたのかと思うや否や、顎がすくわれ唇が重ねられた。
「…馬鹿が。お前以上に魅力的な女がいるかよ」
唇を離すと、伊澄は優しい手つきで雫の頬を撫でた。
「家に居るだけってなんだ。育児っていう何より大事な役目担ってるだろうが。それに元々は俺の仕事の都合がつかないから辞めさせちまっただけで、それで俺がどうこう思うわけないだろ」
「それは…そうかもだけど、」
「何より、他の女が綺麗だなんてあんなのただ派手なだけだろ。化粧も濃いし。けど雫は化粧なんかしなくてもそのままで可愛い」
「!?」
糖分過多だ。そう思うのに伊澄は止まらず、再び雫を抱き締める。
「大きい目も、触り心地の良い髪も、白くて柔らかい肌も、すぐに触りたくなるから寧ろ困る」
「え、ちょ…っ」
あまりに自然な動作で背中のファスナーが下ろされ、そこからするりと手を入れられる。背筋を伝う手は次第に前へ回り、抱え込むように雫の胸に触れた。
「胸だって大きいし、そのくせ腰は細い。すげえ俺好み」
「なっ、体ばっか…!」
「体だってお前の一部だろうが。それに1番好きなのはこっちだ」