愛は花あられ
キッチンへ行くと、師道社長がお米を炊飯器にセットしてくれているところだった。
そんな師道社長にわたしは「師道社長、電話きてますよ?」と言い、スマホを差し出した。
「えっ?誰から?」
「名前は表示されてませんが、多分井神さんだと思います。」
鳴り続けるスマホを手に取る師道社長。
どうするんだろう、、、
出ないであとでかけ直す?
それとも、場所を移して電話に出る?
わたしがそう思っていると、師道社長はわたしの目の前で「はい、もしもし。」と電話に出たのだ。
「あ、井神さん?もう時間外だし、君はもう俺の秘書ではないから、個人的に電話を掛けてくるのはやめてくれるかなぁ?」
やっぱり着信の相手は、井神さんだった。
でも、こんな目の前で電話に出てくれるなんて、、、
やましい事がないからだよね?
「もし次に個人的に電話をかけてきた場合、着信拒否にさせてもらうから、そのつもりで。仕事についての用件なら、勤務中に内線で頼むよ。それじゃあ、お疲れ様。」
そう言って、師道社長は電話を切った。
「ごめん、井神さんからだった。俺は連絡先消したんだけど、、、次かかってきたら着信拒否にするって注意したから。本当にごめん、、、」
そう言う師道社長は、少し落ち込んでいるように見えた。
きっと、向こうからかかってくる事は想定外だったんだろうなぁ。
「師道社長、謝らないでください。師道社長が女性の連絡先を消したのは知ってますし、スマホのパスワードまで教えてくれました。それに何より、わたしの目の前で電話に出てくれた事が、やましい事が無い証拠だとわたしは思っています。」
わたしがそう言うと、師道社長の表情がパッと変わり「妃都、ありがとう。」と言って、わたしを抱き寄せた。
師道社長の事、信じてみよう。
わたしはそう思いながら、初めて師道社長の背中に腕を回し、抱き締め返した。