愛は花あられ

それからわたしは、いつもと変わらぬ日々を過ごしていたが、師道社長への気持ちが日に日に愛しいものへと変わっていくのを感じていた。

社内メールで誠太から「お前の旦那、鬼だな。」とメールが届いた時は、きちんと仕事をさせられているんだな、と思い、クスッと笑ってしまった。

そんなある日の帰宅時。
師道社長から「俺、明日大阪に行くことになったんだ。」と告げられた。

「え、大阪ですか?」
「何か向こうの支店でトラブルがあったらしくて。一日だけ家を空けてしまうことになる。ごめんな。」
「お仕事で行くんだから、仕方ないじゃないですか。」
「一泊だけして、すぐに帰って来るから。あと、高坂さんもちゃんと連れて行くから安心して?」

師道社長はそう言うと、ハハッと笑っていた。


そして、次の日の早朝。

師道社長はいつもより早く起床して、支度をし「じゃあ、行ってくるね。」と、わたしを抱き締めてから出掛けて行った。

わたしはその日、一人で香川さんの車で出勤し、帰りも一人で帰宅した。

帰宅してからご飯はどうしようかと考えたが、自分の為だけに作る気になれず、冷凍してあったご飯と納豆で食事を済ませた。

いつも何かと抱きついてきたり、わたしに触れてきてはスキンシップを取ろうとする師道社長が、今日は居ない。

何だか独身に戻った時のような気分だった。

今日は電話すらかかって来ない、、、
トラブルがあったって言ってたから、忙しかったせいだよね。

毎日、当たり前のようにそこに居てくれた師道社長が居ないと、こんなに寂しいだなんて、、、

以前まで、あんなに師道社長に背を向けて暮らしていた自分が嘘みたいだ。

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