愛は花あられ
「妃都、俺はね、本当に性別はどちらでも良いと思っていたよ?妃都も赤ちゃんも、何事もなく無事に生まれてきてくれれば、それだけで奇跡だと思っているから。それに、もし仮に性別が男の子だったとしても"後継ぎ"にするとは考えてなかったよ?」
涼真さんの言葉に「えっ?」と驚き、涼真さんの顔を見る。
涼真さんは微笑みながら「俺は、自分の子には好きなように生きて欲しい。無理に後継ぎにするつもりはないし、やりたい事をやらせてあげたいんだ。」と言った。
「でも、会長は納得しないんじゃないですか?それじゃなくても、わたしは嫌われていますし、、、」
「会長は会長の考えがあるだろうけど、俺には俺の考えがあるからさ。妃都は、そんな心配しなくていいよ。妃都は今、赤ちゃんをお腹の中で育てるという大仕事をしている。そんな中、部長として仕事もしていて、俺にはそんな事出来ない。だから、妃都には頭が上がらないよ。」
涼真さんはそう言うと、わたしの両手を握り締め「ありがとう。妃都には感謝しかないよ。」と言ってくれた。
それから、わたしの気持ちは少し軽くなり、涼真さんと女の子のベビー用品を揃え始めたのが楽しくて仕方がなかった。
涼真さんが赤ちゃんの名前を考える為に本を買って来た時は、「涼真さん、可愛いなぁ。」と心の中でクスッと笑いながら、一緒に名前の候補を考えた。
そんなある日、珍しく専務も含めた、各課の部長たちが集められた会議があり、そこで涼真さんが「今後、自社独自で"サポート休暇"というのを申請出来るようにしようと思う。」と提案があった。
"サポート休暇"とは、家族にサポートが必要な時に申請して良い休暇で、有給休暇とは別に取得出来るようにするようだ。
「それから、僕は師道部長の育児休暇に合わせて、僕自身も育児休暇を取得しようと思っている。男性は、育児休暇を取得しづらい世の中になっているが、うちの会社は率先して男性社員も育児休暇を取得して欲しいと思っているんだ。」
涼真さんの提案の"サポート休暇"には、専務も各課の部長たちも賛同し、社長自ら先頭をきって育児休暇を取ることにも全員が納得していた。
今回、自分たちが"妊娠"というものがどれだけ大変な事なのかを実感し、お互いを思いやり生きやすい世の中になればいいなぁと願うのだった。