歪んだ月が愛しくて2



「育ての両親は大恋愛の末に家を飛び出して結婚したそうです。所謂駆け落ちって奴」

「何故そんなことを?」

「父親は天涯孤独の身で結婚に反対する親族はいなかったみたいだけど母親の方は違いました。母親の家は結構裕福な家庭で金持ちにはお約束の冷え切った家庭でした。それでも家庭を顧みない奴でも母親の結婚には反対だったみたいで、育ての両親は母親の実家から逃げるようにして街を出たんです。結婚に反対した理由は色々あったと思うけど父親が天涯孤独って言うのが大きかったみたいです」

「成程…」

「天涯孤独だと何がダメなの?」

「あの人は自分の子供を道具としか思ってない、そんな奴だから…。だから父親と結婚しても自分に何のメリットもないと思ったはずだ」

「そんな…っ」

「金持ちの家なんてそんなもんでしょう、現実は」

「………」

「でも母親はそんな家が嫌で出て行ったんです」

「それが鏡ノ院家だったんですね…」

「はい。育ての両親が亡くなって俺達兄弟は初めて母親の実家に行きました。そこで待っていたのは鏡ノ院グループ会長、つまり母親の父親とその兄弟達でした。その中には文月さんもいて、そこで俺は…」



『貴様があの子を殺したんだ!』

『春日を返せ!』

『貴様が代わりに死ねば良かったんだ!』

『お前さえいなければ…』

『この厄病神!死神!』



―――許さない!



―――許さない!



「俺が、養子だって知らされたんです…」


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