歪んだ月が愛しくて2
「鏡ノ院家の人間は秘密裏に俺達のことを調べていたんです。だから俺のことも知っていた。それを皆の前で暴露されて…」
一旦、言葉を止めた。
今更だけど俺は何を話そうとしていたんだろう。何を話すべきなんだろう。
俺の素性はとっくに知っているはずだから今更養子の話をしたって仕方ないか…。
「リカ、その後は?」
「その後…」
思い出したくない記憶もあれば思い出せない記憶もある。
それを何て伝えていいものか分からないが、思い出せない記憶は話したくても話しようがなかった。
大切な記憶なのか、どうでもいい記憶なのか、それすらも分からない。
「ただ自分の罪の重さを実感しただけ」
思い出したくない記憶だけで手一杯だ。
これ以上なんて望まない。寧ろいらない。
でも本当は何となく分かっていた。
思い出せない記憶はきっと思い出してはいけないもの。
その琴線に触れた途端、頭に走る激痛がその証拠だ。
怖い?
ああ、怖いよ。
思い出せないことじゃない。
何かの拍子に思い出してしまったら…、想像しただけで恐ろしい。
「リカ…」
「えっ、ぁ………ごめん」
未空の不安げな声にハッとした。
気を抜いたら夢の世界に行ってるとかどこの危ない奴だ。
「リカ、無理に話さなくていいんだよ」
「そうそう。話したい時に話してくれればさ」
「顔色が優れませんし、今日のところはもう…」
「大丈夫です。てか何か今だから話せるって言うか…、そんな感じなんです」
俺の曖昧な返答に会長以外の3人の表情が険しさを増す。