歪んだ月が愛しくて2



「俺達の関係が壊れたのはそれからでした。兄ちゃんは元々俺が養子だって知ってたから余計に過保護になって、カナは俺のことを拒絶するようになって…」

「でも解けたんだろう、誤解」



途端、会長は俺の言葉を遮った。



「……うん。あれからカナと会ってちゃんと話せた。お互い言いたいことも言えて誤解も解けて…。まだまだぎこちないけど、でも少しずつ昔みたいな兄弟に戻れたらいいなって思う」

「そうか」



会長はいつも素っ気ない。
でも無関心だから素っ気ないわけじゃないことを知っている。



「ありがとう」

「何のことだ?」

「だって会長が“大丈夫”って言ってくれたから、だから逃げ出さずにちゃんとカナと向き合うことが出来たんだと思う」

「………」

「未空もありがとう。カナに“俺の意見を聞け”って言ってくれて嬉しかったよ」

「大袈裟だよ。別に大したことしてないって」

「でも嬉しかった。そんなこと誰も言ってくれなかったから…。当然だよね。だって俺自身がカナと向き合うことからずっと逃げてたんだから」

「でも今回は逃げなかったじゃん」

「え…」

「俺達のお陰だね!」



二カッと、未空は歯を見せて笑った。
まるでお日様のような温かい笑顔にこっちまで頬が緩んでしまう。



「うん」



狡いな、その顔は。

あざとい以上に質が悪いよ。



「ありがとう。陽嗣先輩も九澄先輩も、話を聞いてくれてありがとうございます」

「いいってことよ」

「貴方は何もしてないでしょう。立夏くんの力になったのは尊と未空なんですから」

「そんなことないですよ。こうやって話を聞いてくれただけで有り難いです」

「立夏くん…」

「ほら見ろ」

「ヨージのくせにえばんなよ!何にもしてないくせに!」

「くせにってどう言うことだよ!?」


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